Clomiphene-HMG-HCG療法による排卵誘発妊娠成績とその作用機序に関する研究
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概要
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HMG-HCG療法に抵抗を示す中枢性の無排卵症に対しClomiphne-HMG-HCG療法を試み,その排卵誘発率,妊娠率を検討した.さらに本療法中における血中のLH, FSH, estradiol (E_2)およびprogesterone (prog)をradioimmunoassayにて連日測定し,HMG-HCG療法時のホルモン動態と比較検討した.その成績は以下の如くまとめられる. (1) Clomiphene-HMG-HCG療法を24例の69周期について施行したが,その排卵誘発率は症例別では87.5%,周期別では78.3%であり,同一症例群のHMG-HCG療法の54.2%および37.9%に比し有意に高率であつた. (2) HMG-HCG療法によつて妊娠に至らない症例を対象としたが,clomiphene-HMG-HCG療法による妊娠率は症例別で52.4%,周期別で24.1%と好結果が得られた. (3) Clomiphene-HMG-HCG療法による過剰刺激症状の発生率は卵巣腫大(5.8%),卵巣過剰反応症候群(2.9%),多胎妊娠(38.5%)でありHMG-HCG療法に比しやや高い傾向がみられた. (4) 両群の治療中の血中ホルモン測定値を比較すると,血中FSH値には差がなかつたがHMG-HCG療法群HCGの投与直前の血中E_2, LHの平均値(±標準偏差)はそれぞれ,265.7±65,9pg/ml, 6.0± 1.0mIU/mlに対しclomiphene-HMG-HCG療法群のそれは771.6± 150.4pg/ml, 39.4± 7.1mIU/mlで,それぞれ有意に上昇していた. (5) 以上の成績からHMG-HCG療法に抵抗を示す症例に対しclomipheneを前もつて投与することにより排卵率,妊娠率を上昇させうることを明らかにし,かつclomipheneが視床下部に対する作用のほか卵巣レベルでgonadotropinに対する感受性をたかめることがその主要な作用機序である可能性を示唆した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-05-01
著者
-
三宅 侃
大阪大学医学部 産科学婦人科学
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
松本 圭史
大阪大学医学部,病理学第2教室
-
正田 常雄
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
安田 基
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
衣笠 隆之
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
青野 敏博
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
衣笠 隆之
東大阪市文中央病院
-
青野 敏博
大阪大学医学部産婦人科
-
正田 常雄
大阪大学医学部産科婦人科
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