子宮頚部擦過剥離細胞におけるPCR法を用いたHPV16, 18, 33型の検出

概要

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子宮頚部の擦過剥離細胞を用いてPCR (polymelase chain reaction) 法によってHPV (human papillomavirus) のType 16, 18, 33の検出を363例に行った。健常婦人のHPV DNA陽性率は3.8%, 頚部浸潤癌では70.0%であった。健常婦人では, 20歳台で6.5%と最も陽性率が高く, 年齢が高くなるに従って陽性率が下がった。閉経期以降の健常婦人では陽性者がなかった。しかし, 子宮頚部異形成では高年齢婦人ほどHPV DNAの陽性率が高い傾向にあった。HPVのType 16, 18, 33の中ではType 16が最も多く検出されたが, Follow up群ではType 16の検出率が低かった。浸潤癌群ではType 33は検出されず, 腺癌ではType 18のみが検出された。健常婦人の20歳台ではType 16のみが検出されたが, 年齢が高くなるに従ってType 16の検出頻度が低くなった。しかし, 異形成, 頚癌群では年齢が高くなるに従ってType 16が多く検出された。以上の結果から, HPVのType 16は最も感染力が強く, 発癌性も強いことが示唆された。更に, 頚癌の発症にはHPV感染だけではなく何らかのco-factorが必要であると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-12-01