卵巣癌における後腹膜リンパ節転移をきたす危険因子

概要

論文の詳細を見る
卵巣癌における後腹膜リンパ節転移の頻度とその危険因子を臨床病理学的に検討した。原発性上皮性卵巣癌48例中24例 (50.0%) に後腹膜リンパ節転移を認めた。化学療法施行前の初回手術 (primary cytoreductive surgery) で確認されたリンパ節転移はすべて傍大動脈節と骨盤リンパ節転移の同時転移であった。卵巣癌では, 骨盤リンパ節から傍大動脈節に転移する経路が存在することが推察された。後腹膜リンパ節転移に関連する因子としては, 腹腔内の病変 (腹腔内進行期) がより進行した例, 腹腔 (腹水もしくは腹腔洗浄液) 細胞診陽性 (61.1%), 腹膜播種 (71.9%), 大網転移 (75.0%), 両側卵巣腫瘤 (62.5%), 低分化型癌 (68.2%) が有意な単変量危険因子であった。多変量解析 (判別分析) の結果より, 腹腔内進行期, 腹腔細胞診陽性, 低分化型癌が卵巣癌における後腹膜リンパ節転移の最も重要なRisk factorと考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-03-01