骨盤位分娩における児の予後に関する臨床考察

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骨盤位分娩の児の予後を頭位分娩の児と比較検討した.対象は1975年7月より1982年12月までの期間に,倉敷中央病院周産母子センターにおいて出産した在胎週数24週以降の8,863例である.骨盤位分娩の児518例,頭位の児8,345例の早産率,大奇形率,胎児新生児死亡率について解析し,以下の結論を得た.ただし,胎児新生児死亡率については致死性の大奇形を合併した児は対象より除いた.(1)全体の児死亡率は骨盤位分娩で4.9%,頭位分娩で0.5%であり有意(p<0.005)に骨盤位分娩において高かつた.(2)大奇形合併率は骨盤位で2.3%,頭位で0.5%であり有意(p<0.05)に骨盤位分娩に高かつた.(3)早産率は骨盤位で17.5%,頭位で4.6%であり有意(p<0.005)に骨盤位に高かつた.(4)在胎週数28〜31週では骨盤位分娩の児は頭位に比べ有意(p<0.025)に死亡率が高かつた.出生時体重1,000〜1,499gにおいても骨盤位分娩の児は頭位に比べ有意(p<002)に児死亡率が高かつた.(5)在胎週数28〜31週では骨盤位分娩の児は頭位に比べ有意(p<0.001)に重症の新生児仮死の頻度が高かつた.以上にことより,在胎週数28〜31週で児の出産時体重が1,000〜1,500gの骨盤位分娩では,重症の新生児仮死が多く,それが児の予後を悪くしていると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-04-01

骨盤位分娩における児の予後に関する臨床考察

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