ギニアグラスの未熟胚培養における体細胞不定胚の高頻度形成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般にアポミクシス草種と言われているギニアグラス(Panicum maximum Jacq.)は,系統及びその遺伝子型によってアポミクシ又の程度を異にする.本報ではギニアグラスの未熟胚カルスから,高頻度に体細胞不定月三(SE)を形成した結果を示す.また,供試した品種および系統間に差異が認められ,アポミクシスとの関連についても検討を加えた.本実験で用いたギニアグラスは,農業生物資源研究所植物分類評価研究チーム囲場(宮崎市霧島)で保存中のもので,3保存品種及び9系統の計12genotypeを使用した(Table 1).滅菌した豊熟巾の種子から,O.5〜1.0mmの未熟胚を摘出し1Omg・1^-1,4-D,10%CW,O.8%Agarを添加したMS培地により25℃暗黒条件下で培養した(Fig 2).培養30〜40日後,カルスの上部に形成されたSEは解剖顕微鏡下で切り離し,さらにMS培地(1mg・1^-12,4-D,5%CW,0.2%Gelrite)で継代培養を行なった.またSEの発育促進のために1.0mg・1^-1Kinetinと1,Omg・1^-1GA3及び5%CW添加のMS培地に置床した(Fig.3).カルスは,培養後3〜5日目頃,胚の中央部分から形成され,その多くは透明なやわらかいカルスであった.しかし,その後,培養15日目頃には摘出胚の胚盤または中央部に相当する部分から白色でコンパクトなカルスが出現し始め,40日目には,カルスの.上部一面に形成された.さらに培養を重ねるにつれて,それらは突起状の不定胚構造を呈した(Fig 1).品種Petrie及ぴGattonでは,SEの形成卒が他の未熟胚よりも高かったのに対し,S67及びN68/96-8-o 1Oでは低く,N68/84-1-o 8では全く得られなかった(Table1).これらのSEを個別に分離して上述の発芽促進培地に置床したところ,Petrie,Gatton及びNatsuyutakaの3品種からは高頻度で植物体を誘導することができ,SEの形成卒と植物体再分化との間には品種及び系統間で顕著な差が認められた.そこでSE形成卒とアポミクシス程度との関係について調査を行なった(Fig.4).これによると本実験で供試したギニアグラスはSEの形成卒とアポミクシス程度によって3つのグループに分けることができ,その中でもPetrie及びGattonはSE形成卒が高く,さらにはアポミクシスの程度も商い値を示していることが判明した.
- 日本育種学会の論文
- 1991-03-01
著者
関連論文
- サトウキビに接種した窒素固定エンドファイト Herbaspirillum の動態追跡のための緑色蛍光タンパク質の利用
- ソルガム(Sorghum bicolor L. Moench)褐色中央脈変異系統(brown-midrib)におけるフェニールプロパノイド代謝系酵素の活性とリグニンの蓄積
- SSRマーカーによる Zoysia 属の多型解析
- シバ属の遺伝資源解析 : 1.南西諸島に自生するZoysia属における形態的特性と被度増加
- BAPおよび硫酸銅がバヒアグラス(Paspalum notatum Flugge)の種子由来エンブリオジェニックカルス形成と植物体再分化に及ぼす効果
- バヒアグラス(Paspalum notatum Flugge)の懸濁培養細胞由来再分化個体における化学組成およびin vitro消化率
- チガヤにおける多芽体誘導とその育種的利用法
- バヒアグラスの組織培養における硫酸銅添加培地での連続的な不定胚形成
- ローズグラス (Chloris gayana) における遺伝子組換え体の作出
- 西洋ミヤコグサ由来"Super-growing Root" (Lotus corniculatus L.)の発根・伸長に及ぼす亜鉛添加の効果
- バヒアグラス(Paspalum notatum Flugge)の単一種子由来懸濁培養細胞からの再分化個体における形態的および飼料的性状の変異
- バイオテクノロジーを利用した暖地型イネ科牧草の育種(イネ科牧草の遺伝育種の展開)
- バヒアグラス(Paspalum notatum Flugge)における効率的な種子由来エンブリオジェニックカルス誘導法とパーティクルガンによる形質転換条件の検討
- ミヤコグサのリソース整備と共生窒素固定の分子的解明
- Iris属Laevigatae系植物における含有アントシアニンのHPLC分析
- 4-26 バヒアグラスの懸濁培養細胞由来再分化個体における F1 雑種後代の乾物生産および in vitro 消化率
- 8-4 バヒアグラスにおけるソマクローナル変異体の飼料化学的評価
- ギニアグラスにおけるアポミクシス関連遺伝子ASG-1の系統および胚分化への関与
- 高能率ゲノム走査法によるソバ異型花柱性遺伝子座のマッピング
- Oryza sativa L.とOryza minutaとの種間交雑における生殖障害
- 胚嚢分析に基づく条件的アポミクトギニアグラスの生殖細胞単離の試み
- ソバおよびダイズアレルゲン蛋白質の分子遺伝・育種学的ならびに食品科学的改善
- アポミクシスギニアグラスの懸濁培養細胞由来プロトプラストからのエンブリオジ'ニックカルスの形成
- トマト栽培種の子葉プロトプラストからの体細胞胚形成と植物体再生
- トマト種間交雑(L. esculentum X^4peruvianum-complex')における雑種切胚の初期崩壊過程追跡と胚培養の効率化
- ギニアグラスの未熟胚培養における体細胞不定胚の高頻度形成
- 第4回国際ソバシンポジウム(ソ連・オリョール市,1989年7月10〜15日)に参加して
- Portulaca属植物における異花色系統間に見出された花弁タンパク質の差異
- 制御環境下におけるソバ品種の生殖形質の光周性感応
- ソバの着粒に関与する2,3形質の品種間差異と流産性不稔の解析
- ショウガカルスからの植物体再生とその形態的追跡
- 2,3のイネ科草種の培養と植物体再生の効率化
- Portulaca sp. 'Jewel' に見出されたX線突然変異系統の花色遺伝分析とその特性
- タバコ属植物プロトプラストの種内融合とスベリヒユ属植物プロトプラストとの属間融合〔英文〕
- タバコ属植物からのプロトプラストの調製と生存率〔英文〕
- 第2回国際ソバシンポジウム(宮崎市)について
- カキツバタ×ハナショウブにおけるF1植物の獲得と特性について
- 人為同質四倍体ソバの後代における花柱性の遺伝と自家不和合性の消失
- HEGS(高能率ゲノム走査法)/AFLPによるソバ異型花柱性遺伝子座の精密マッピング
- ホモスタイル型自殖性野生ソバ:F. homotropicumからの BAC ライブラリーの構築
- チガヤ(Imperata cylindrica L.)の幼穂および生長点からのカルス形成と植物体再分化
- チモシー(Phleum pratense L.)の幼穂からのカルス形成と植物体再分化
- ネピアグラス(Pennisetum purpureum Schumach.)の形態的特性とブリックス値およびリグニン含量との関係
- 3-2 アンチセンスCAD(Cinnamyl Alcohol Dehydrogenase)遺伝子を導入したバーズフットトレフォイルの飼料化学的性状
- 最近におけるソバの育種研究とその展望 : 第7回国際ソバシンポジウム(カナダ・マニトバ州)での議論を踏まえて
- ソバ属植物におけるホモスタイリー(Ho)遺伝子に連鎖するRAPDマーカーの同定
- そば新品種"みやざきおおつぶ"について
- 四倍体ソバにおける生殖器官の多型性と不和合性反応(英文)
- サンセベリア培養組織からの植物体再分化について
- 移入交雑で得られたホモスタイル型自殖性普通ソバの育成と自家不和合性
- 自作パーティクルガンによるダリスグラス(Paspalum dilatatum Poir.)へのbar遺伝子の導入とビアラホス耐性細胞の獲得
- 配偶体プロトプラストの融合で植物体誕生!--トウモロコシ試験管内受精成功の意味するもの(今日の話題)
- 集光フェトム秒レーザービームを用いたソバにおける雌雄配偶子の単離
- ポ-チュラカ植物プロトプラスト培養初期のDNA複製〔英文〕
- Portulaca属植物種子における休眠と発芽の遺伝的多様性
- 花色の遺伝生化学的研究とその育種への応用-7-Portulaca属植物の植物体および培養組織からのDNA抽出について
- 最近における植物の形質転換研究の動向 : 西ドイツ・HESS研究室を中心に
- 野生種利用によるトマトの耐病性育種に関する研究
- 3C35 Portulaca属植物の培養組織におけるBetalainの生成とその遺伝的調節
- 花色の遺伝生化学的研究とその育種への応用-6-Portulaca培養組織におけるBetalain色素の形成と2,3細胞内要因の変異
- 花色の遺伝生化学的研究とその育種への応用-5-Portulaca属植物の花弁培養とベタシアニンおよびベタキサンチン色素の形成
- コムギの組織培養によるカルスの誘導と芽の分化〔英文〕
- サンセベリア葉組織からのカルスの誘導とクロロフィル形成能について
- 花色の遺伝生化学的研究とその育種への応用-3,4-
- トウモロコシ節間における乾物およびリグニンの分布
- ソバ種間交雑Fagopyrum tataricum×F.esculentumの接合体の発育停止をともなう受精の不成立
- 日本育種学会創立50周年記念事業「育種フェア」盛大に開催
- 今なぜ育種障害の克服なのか
- はじめに
- マメ科植物におけるスーパールート
- 遺伝子操作によるバヒアグラスの品質向上 : 1. RAPD分析による懸濁培養細胞由来再生個体におけるソマクローナル変異の検出
- サトウキビに接種した窒素固定エンドファイトHerbaspirillumの動態追跡のための緑色蛍光タンパク質の利用
- Callus formation and plant regeneration in some wild legume species.