組織培養下での不定芽形成を利用した、トウガラシ(Capsicum annuum L.)の放射線突然変異誘発 : M_1 世代に見られた変異体の解析

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突然変異誘発効率の検討を目的として、トウガラシ幼植物にガンマ線照射を行った後、組織培養下で形成された不定芽に由来する植物体を育成した。播種12日後の苗に、照射線量0、0.5、0.75、1.0、1.25kradのガンマ線を線量率5krad/hrで照射した。照射後、子葉培養組織から形成された不定芽を、発根させた後温室内で育成した。種子及び照射を行わなかった子葉培養組織に由来する植物体には、全く変異が認められなかったが、照射を行った子葉培養組織から得られた植物体には、高い頻度(4.4%)で可視変異が認められた(Tab1le 1)。変異スペクトルは比較的広く、草型、葉、花、果実についての変異が見られた(Table 2、Fig.1)。キメラ発生率は相当高く、不定芽が単一の細胞のみに由来するのではなく、複数の細胞に由来する場合もある事が示唆された。見られた変異体の殆どが、一遺伝子性形質によるものであった。M_1世代で見いだされたこれらの変異形質の次代(M_2)への伝達を調査したところ、M_2世代で固定した形質と分離した形質が見られた(Table 3)。そして、それらの殆どがM_3世代で固定した(Table 4)。3種類の変異形質がM_2世代で消失し、その原因について考察した。ガンマ線照射を行った世代(M_1)の不定芽培養植物に多くの変異が見いだされたことは、突然変異育種においてこの方法が有効であることを示唆している。
日本育種学会の論文
1988-06-01

組織培養下での不定芽形成を利用した、トウガラシ(Capsicum annuum L.)の放射線突然変異誘発 : M_1 世代に見られた変異体の解析

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