倍数性および染色体構成がライコムギ間交雑における交雑率とF_1植物の生育に及ぼす影響
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概要
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ライコムギの倍数性および染色体構成がライコムギ間の交雑率やF_1植物の生育に及ぼす影響を調査するため,Rゲノム染色体が全部揃っている八倍性ライコムギ(完全型八倍体)1系統,完全型六倍性ライコムギ2品種,2D/2R置換型六倍性ライコムギ2品種,2D/2R・4D/4R置換型六倍性ライコムギ2品種および2D/2R・4D/4R・5D/5R置換型六倍性ライコムギ1品種を用いて(Table1)交雑実験を行った.八倍体×六倍体の相互交雑における交雑率は,2D/2R置換型のBeaver,2D/2R・4D/4R置換型のCamel,および2D/2R・4D/4R・5D/5R置換型のCamel/Patoとの交雑においては八倍体を母方にした方がその逆交雑の場合よつも低い値を示したが,それ以外の4組合せでは八倍体を博方にした方がより高い値を示した(Table2).また交雑によって得られたF、種子の重量およびF1植物の完熟期達成率は,八倍体を揚力にした7交雑組合せのすべてにおいて逆交雑の場合よりも高い値を示した(Table2,3).置換型六倍性ライコムギと完全型六倍性ライコムギ間の14交雑組合せにおける交雑卒は,2D/2R・4D/4R置換型のWelsh を'母方にして完全型のBeagleおよびCurrencyと交雑した2交雑組合せ以外はすべて置換型を母方にした場合の方がより高い交雑率を示した(Table4).しかしF_1種子の重量は置換型を場方とした組合せで低い値を示した(Table3,4).Camel/PatoまたはWelshを母方としたBeagleまたはCurrencyとの交雑から得られたF1種子,およびCamel/PatoとWelshの相互交雑によって得られたF_1種子の形状はすべて短小で,ややコムギの種子に近似していた(Fig.1).本実験から,八倍性ライコムギと完全型六倍性ライコムギの交雑においては八倍体を博方にした方がその逆交雑の場合よりも交雑卒,F_1種子の重量,F_1植物の完熟期達成卒が大になること,八倍体と置換型六倍体との交雑においては八倍体を母体にした方がその逆交雑の場合よつもF1種子の重量,F1植物の完熟期達成率が大になる傾向が見られるが,交雑卒には一定の傾向が見られないこと,また完全型六倍体と置換型六倍体との交雑においては,完全型を母方とした交雑組合せにおいてF_1種子の重量が大になるが,交雑率とF1植物の完熟期達成率には一定の傾向が見られないことが明らかになった(Table3,4).
- 日本育種学会の論文
- 1989-12-01
著者
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