タイ国北部における焼畑から常畑への移行過程に関する耕地生態学的研究 : 第3報焼畑において単作および間作栽培された作物の根系分布

概要

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タイ国北部の焼畑斜面地において, 土壌壁面描画法によりトウモロコシと陸稲と大豆を間作栽培した時の地下部根系の分布状態を, 各々の単作栽培下におけるそれと比較検討した。また, 耕起の有無による影響も併せて調査した。単作栽培下での各作物の根系は, ほぼ左右対称型の分布を示した。一方, 間作された場合にはいづれの作物との組み合わせでも, 相互に異種作物側への根の分布が大きく広がった結果, 非対称型を示した。また間作栽培下では, 株直下の垂直壁面での根系分布面積もまた, 異種作物側で有意に大きかった。また調査時に, 隣接作物が異種作物の場合には, 相互に隣接作物の根域の中に根を張り出しているのが観察された。さらに, 耕起区では, 下層で水平方向に根が広がっていた。これは, 耕起によって火入れ後の灰が下層で集積した結果, その層位に根張りが集中したものであり, 灰の肥料効果を示すと考えられる。以上の結果から, トウモロコシ, 陸稲, 大豆が間作されると根張りが広がることから, ひいては土壌資源の有効利用に有利な根系分布をとるものと考えられる。
1996-06-01