西アフリカ・サバンナ帯の樹木葉をマルチ材として利用する際の作物の発芽と生育に及ぼす影響
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概要
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西アフリカの湿潤サバンナ帯における固有樹木の葉をマルチ材として利用しようとする際, それらの葉の浸出液による作物に及ぼす植物毒性の影響が懸念される.本研究では, 30樹種の葉の水浸出液がダイズ, ササゲ, トウモロコシ, ソルガム, そしてミレットの各2品種の作物の発芽と生育に及ぼす影響を, ペトリディッシュ及びポット試験によって検討し, マルチ材に適した樹種のスクリーニングを行った.その結果, ペトリディッシュ試験において作物の発芽率を25%以上抑制した樹木葉は, トウモロコシに対しては7種, ミレットでは17種, ソルガムで15種, ダイズが4種, ササゲは9種あり, ミレットとソルガムに発芽抑制として働く樹種の多いことを認めた.一方で, 発芽促進効果をもつ樹種もあった.ポット試験の結果は, 必ずしもベトリディッシュ試験の結果と一致しない場合も見られたが, 供試作物の乾物重を25%以上減少させた樹種は, ダイズで21樹種の内3種, ササゲで4種, トウモロコシでは7種あった.また, 乾物重を25%以上増加させた樹種はダイズで10種, ササゲが11種, トウモロコシでは5種あった.わけ, Erythrophleum suaveolenseとCombretum molleの葉の浸出液中には発芽及び生長抑制因子が存在するものと推察され以上の結果から, 樹木葉をマルチ材として利用する際には, 栽培作物との適合性を考慮した樹種の選抜が必要となろう.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1997-03-01
著者
-
林 幸博
日本大学生物資源科学部
-
林 幸博
日大生物資源科
-
カースキ ロバート
International Institute Of Tropical Agriculture
-
林 幸博
日本大学農獣医
-
林 幸博
日大 生物資源科
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