紅河デルタ村落における商品作物としての野菜栽培の現状と栽培面積拡大の制限要因

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1986年以降に実施された一連の社会・経済改革(ドイモイ)政策はべトナム紅河デルタ農業を大きく変容させた.水稲作を中心とした食用作物の生産だけでなく, 家畜飼育や養殖, 野菜, 果樹, 工芸作物栽培など, 農家レベルでのさまざまな現金収入源が増加した.しかし, 紅河デルタ村落は人口密度がきわめて高く、現金収入源のための農地面積は限られている.制限された土地条件の下, いかに集約性を高めるか, いかに栽培面積を拡大するかが農村発展にとって重要な要素となる.本研究では, 主要な商品作物である野菜栽培に焦点をあて, その農業集約性を評価し, さらなる収益の拡大に何が制限要因となっているのかを考察した.調査対象地はナムディン省コックタイン合作社である.年間を通じた圃場記録を分析の対象とした.その結果, 野菜栽培の集約性はすでに限界に近いことがわかった.また, 資本集約性と労働集約性も, さらなる集約化が収益の増加をもたらさないという意味においてすでに限界に近づいていると考えられた.このことは, 農業集約度ではなく販売時の価格が収益にもっとも影響をおよぼすことを意味するが, かといって農民は販売先を多様化させるなどの戦略をとって収益の最大化を図っているわけではなかった.さらなる収益の拡大には, 国内外の市場価格や, 需要と供給に関する情報の取得, 国内外のさまざまなレベルでの流通網の整備が必要であると考えられた.
2001-12-01

紅河デルタ村落における商品作物としての野菜栽培の現状と栽培面積拡大の制限要因

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