サトウキビのプロトプラストからの植物体再分化
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概要
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サトウキビにおいてプロトプラスト培養系を確立することを目的に,カルスからの液体振とう培養系の作出と,液体振とう培養細胞からのプロトプラストの単離・培養について検討した.サトウキビ5品種・系統のカルスを2mg/l2,4-D,500mg/lカザミノ酸,30g/lショ糖を含むN6改変培地で振とう培養し,供試したすべての品種・系統で液体振とう培養系を作出した。これらの液体振とう培養細胞は3ヶ月間の継代培養の後にも再分化が可能であった。液体振とう培養細胞から単離したプロトプラストは2mg/l2,4-D,O.09Mショ糖,0.46Mグルコース,1.2%アガロースのKM8P培地に包埋し,同組成の液体培地中でナース細胞とともに培養した。その結果,供試5品種・系統ともにプロトプラストが分裂し,5から8週間の培養でカルスが得られた。プロトプラスト由来のカルスは再分化前処理培地(PR4)で2週間培養した後,再分化培地(R9)に移植した。再分化培地での30日間の培養の結果,US76-9(育種素材系統)とNiF8(栽培品種)のカルスからは,それぞれ緑色とアルビノのシュートが再分化した。一方,その他の3品種のプロトプラスト由来カルスでは,いずれも器官形成は認められなかった。US76-9については異なる齢の液体振とう培養細胞(8週から31週齢)を材料に6回のプロトプラストの単離・培養を行ったが,そのいずれにおいてもプロトプラスト由来のカルスから安定して多数の緑色のシュートが再分化した。これらのシュートのほとんどは発根用の培地に移植後に枯死したが,一部のシュートからは再分化植物体が得られた。
- 1997-09-01
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