無マルチでの株出し栽培が可能なサトウキビ品種「NiTn18」の育成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
サトウキビ品種「NiTn18」は,低温下での萌芽性や茎伸長性が優れ,無マルチでの株出し栽培が可能なサトウキビ品種である。2003年には鹿児島県熊毛地域の奨励品種として採用され,2004年に「さとうきび農林18号」として命名登録された。本品種は,さび病や葉焼病等の葉の病害に強く,茎揃いが良好な「KF81-39」を種子親とし,萌芽性が優れる高糖品種「ROC11」を花粉親とする交配組み合わせから育成された。葉身長がやや短く,葉は直立し,同地域の主力品種「NiF8」とは容易に区別できる。黒穂病抵抗性は "極弱" であるが,葉焼病やさび病等他の重要病害には "中" 以上の抵抗性を具える。低温条件下での発芽性や萌芽性,茎伸長性が優れ,また,分げつ性も優れることから,春植え栽培,株出し栽培ともに「NiF8」より茎数が多く,茎長は長い。そのため「NiF8」より原料茎重や可製糖量は多く,特に,「NiF8」が少収となる無マルチ株出し栽培や多回株出し栽培,肥沃度の低い圃場でも多収が期待できる。また,ハーベスタ収穫後の茎数は「NiF8」より多いため,ハーベスタ収穫後に株出し栽培を行う圃場での利用に適する。本品種を利用することで,同地域におけるサトウキビ生産の安定多収化と省力・低コスト化の実現が期待できる。
- 2010-11-00
著者
-
松岡 誠
九州沖縄農業研究センター
-
杉本 明
国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点
-
松岡 誠
農研機構九州沖縄農研
-
寺島 義文
農研機構九州沖縄農研:(現)国際農研
-
杉本 明
(独)農業・食品産業技術総合研究機構研究管理監
関連論文
- 生育不良環境条件下におけるサトウキビの安定多収栽培の要点南大東島および久米島の生育不良環境条件下におけるサトウキビの作型間差異と品種および系統間差異
- 移植苗を用いたサトウキビの密植栽培による短期収穫および多収栽培の可能性
- サトウキビ新品種「Ni22」の早期収穫適性
- 栽培 栽植密度が飼料用サトウキビKRFo93-1(Saccharum spp. hybrid)の新植での生育および収量に及ほす影響
- スイートソルガムとの比較によるサトウキビ初期生長特性の解析
- サトウキビ産業の未来 (シンポジウム 南西諸島の農業の未来を考える)
- エネルギー用サトウキビからの食糧共存型バイオマスエタノール生産
- 3-8.エネルギー用サトウキビを用いたバイオマスエタノール生産プロセスの開発((2)エタノール,Session 3 バイオマス等)
- 干ばつの常発する地域で安定多収を可能とするサトウキビの有望系統
- 栽培 株出しでの年2回収穫体系における飼料用サトウキビ品種KRFo93-1の生育および収量
- 収穫適期幅が長く安定多収なさとうきび新品種「NiTn20」の育成
- 52 飼料用サトウキビKRFo93-1の年2回収穫栽培での乾物収量(栽培,日本作物学会第226回講演会)
- 8-16 高バイオマス量サトウキビを原料とした新規エタノール生産プロセスと従来プロセスにおけるGHG排出量比較((6)資源・LCA,Session 8 エネルギー評価・経済)
- 高バイオマス量サトウキビの育種と利用展開(バイオエタノール原料作物の栽培と利用,ミニシンポジウム(2),日本作物学会第225回講演会)
- 飼料用サトウキビ「KRFo93-1」の育成と普及に向けた研究展開
- 20 サトウキビ近縁野生種の越冬性と養分吸収量(関東支部講演会,2006年度各支部会)
- 沖縄本島地域におけるエリアンサス属植物(Erianthus spp.)の探索と収集 (国内探索収集調査報告)
- 台風・干ばつ・低肥沃度土壌での作物生産 : 砂糖から砂糖+ワンへの変革に向けた高収量サトウキビの開発
- 香川県善通寺市におけるサトウキビ植え付け方法の検討(日本作物学会四国支部第42回講演会講演要旨)
- 窒素施肥がサトウキビとソルガムの窒素蓄積に及ぼす影響(日本作物学会四国支部第42回講演会講演要旨)
- 16-3 異なる窒素施肥量におけるサトウキビ品種及び種属間交雑系統の養分収支(16.畑地土壌肥よく度,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 伸長性に優れたサトウキビ系統「KF92T-519」の導入による収量改善効果
- 石垣島におけるサトウキビ夏植栽培の現状と対策
- 八重山地域におけるサトウキビの夏植型1年栽培に適する系統の選定
- 八重山地域におけるサトウキビ系統KF93T-509の各作型における栽培適性
- 石垣島,多良間島,沖縄本島北部,伊是名島,喜界島におけるサトウキビ少収,低糖度の要因と栽培改善に有望な品種の選定
- 種属間交雑で作出した連年株出し多収性サトウキビの飼料としての評価
- 植付け時期の異なるサトウキビの7月における生育と群落形成
- エネルギー用サトウキビからの食糧共存型バイオマスエタノール生産
- 38. タイ東北部における近縁野生種を利用した飼料用サトウキビ品種の開発 : サトウキビとエリアンサス属植物の交配の問題点および交配手法の改良(日本熱帯農業学会第97回講演会)
- 37. タイ東北部における近縁野生種を利用した飼料用サトウキビ品種の開発 : 飼料用サトウキビ品種開発の概要と経過(日本熱帯農業学会第97回講演会)
- さとうきびの周年収穫・多段階利用に向けた品種の開発と新たな作型--夏植型1年栽培
- P-22 地下部特性と葉の光呼吸速度がサトウキビの初期の乾物生産に与える影響
- 23 サトウキビの湛水田での栽培における発根及び茎の形態的特徴
- 39. サトウキビ茎の傷害部に蓄積するポリフェノール(日本熱帯農業学会第97回講演会)
- 28. 茨城県つくば市におけるサトウキビ及び近縁種の地上部乾物収量(日本熱帯農業学会第96回講演会)
- つくばの畑と水田で栽培したサトウキビ品種及び種属間交雑系統の養分収支(16. 畑地土壌肥よく度, 2004年度大会講演要旨集)
- サトウキビの染色体観察法
- サトウキビジュースにおける有用成分の生育時期別推移と加工時の消長
- 種子島におけるさとうきび品種・系統のマルチ・無マルチ株出栽培での生育及び収量,品質
- 87 サトウキビの分げつ性 : 遺伝資源における分げつ出現開始の変異
- 85 安定生育を実現する植物試験用底面給水ポットの開発
- 31. SSRマーカーによる日本のサトウキビ品種(Saccharum spp. hybrids)の識別(日本熱帯農業学会第96回講演会)
- 30 サトウキビの分げつ発生消長の品種間差異
- 54. SSRマーカーによるサトウキビ野生種(Saccharum spontaneum L.)の系統識別
- サトウキビ野生種(Saccharum spontaneum)の石垣島における出穂早晩性
- サトウキビ野生種の株出し萌芽位置 : 収穫残茎の地上部から萌芽する系統と母株から離れたところに萌芽する系統
- 48. アグロバクテリウムによるサトウキビ形質転換体の作出 : 超音波処理はアグロバクテリウムの除菌に有効である
- 6. アグロバクテリウムを用いたサトウキビ培養細胞の形質転換とシュート再分化
- サトウキビのスクロース含有率とスクロースリン酸シンターゼ活性の関係
- サトウキビの早期高糖性と生長およびインベルターゼ活性との関係
- 温度および施肥がサトウキビの生長, スクロース含有率およびインベルターゼ活性に及ぼす影響
- サトウキビにおけるカルスの液体振とう培養と植物体再生
- 東北タイの作物の根と硬盤層に関して : 硬盤層と根の闘い
- サトウキビ春植えにおける最初の分げつ出現の時期
- サトウキビ防風垣栽培適性の検討
- 茎伸長が優れ安定多収のサトウキビ品種「Ni23」の育成
- 無マルチでの株出し栽培が可能なサトウキビ品種「NiTn18」の育成
- 株出し栽培で多収の早期高糖性サトウキビ新品種「Ni22」の育成
- サトウキビ初期生長特性改善のための形態形質の解析
- 多良間島におけるサトウキビ少収・低糖度要因の解明
- 種子島のサトウキビNiF8の茎内におけるスクロース生産の推移
- 植付・収穫時期を異にした1年栽培サトウキビ品種・系統の生育差異
- 普及品種の茎収量が少ない条件下でも多収性を発現する系統の評価のあり方NiF8の茎収量が少ない条件でも多収性を発現する系統の特徴
- 種子島における初冬季収穫栽培に適応性の高い品種および系統
- 70 種属間交雑で作出した多収性サトウキビ系統の地上部、地下部の特性
- タイ王国におけるサトウキビ野生種(Saccharum spontaneum)の特性 : タイ北部から南部にかけて、主要地域で収集したサトウキビ野生種の染色体数
- 沖縄のサトウキビ栽培品種及び育成系統の親縁関係の検討
- 四国西部地域におけるサトウキビ野生種の探索収集 (国内探索収集調査報告)
- 株出多収性の種属間交雑系統に変異処理をして作出した集団から選抜した系統の特性
- 「バイオ・エコシステムプロジェクト」 : モンスターケーンの養分吸収特性と光合成速度
- ISSCT第7回育種・遺伝資源ワークショップに参加して
- 種子島の農業生産に関わる窒素循環(1. 物質循環・動態, 2004年度大会講演要旨集)
- 南西諸島のサトウキビ産業を変える新技術--「高バイオマス量サトウキビを利用した砂糖・エタノール複合生産プロセス」の開発
- 高バイオマス生産サトウキビの初期生育特性に関する研究 : 第1報茎の維管束数と地上部乾物重との関係
- 25. サトウキビの種属間交雑で作出した株出しでも乾物生産力、糖生産力の高い系統
- サトウキビのプロトプラストからの植物体再分化
- P22-4 堆肥多投入畑に栽培したサトウキビが無機態窒素溶脱におよぼす影響(ポスター紹介,22.環境保全,2010年度北海道大会)
- 8-20 重窒素希釈法による圃場のサトウキビにおける窒素固定量の評価(8.共生,2010年度北海道大会)
- 31 サトウキビ品種・系統の蔗汁分析 : ブリックス、糖度、繊維分から見た品種の特徴
- 高バイオマス量サトウキビ品種の開発と「砂糖・エタノール複合生産プロセス」の実証
- イネ科作物の茎部細胞壁成分が糖化効率に及ぼす影響
- 日本のサトウキビ野生種の蔗汁 Brix と茎の諸形質の関係
- サトウキビ品種NiF8とNi9の無選抜交配系統群における糖生産性関連形質の変異と相関関係の解析
- 収穫時期の異なる年2回収穫栽培における飼料用サトウキビKRFo93-1の生育および収量
- 飼料用サトウキビKRFo93-1の生育とK/(Ca+Mg)当量比の関係
- 16-5 サトウキビの収穫残渣量と残渣中の養分量(16.畑地土壌肥沃度)
- カリ施肥量の違いが多回株出し栽培における飼料用サトウキビの生育および収量に及ぼす影響
- 高バイオマス量サトウキビ系統KY01-2044の個葉光合成特性
- カリ施肥の違いがポットで栽培した飼料用サトウキビのK/(Ca+Mg)当量比に及ぼす影響
- 高バイオマス量サトウキビ系統KY01-2044の南西諸島各地域での生産力
- 植え付け時期が高バイオマス量サトウキビ系統の生育・収量に及ぼす影響
- 飼料用サトウキビKRFo93-1の生育、収量に及ぼす株揃え処理の影響
- 日本で収集されたサトウキビ野生種の蔗汁 Brix の評価
- サトウキビにおける生育ステージとK/(Ca+Mg)当量比の関係
- イネ科作物の細胞壁成分の作物間・品種間変異
- 極早期高糖性系統の糖蓄積特性
- 密植が飼料用サトウキビKRFo93-1の新植での生育および収量に及ぼす影響
- 無マルチでの株出し栽培が可能なサトウキビ品種「NiTn18」の育成
- サトウキビ産業の未来