秋播性程度の高いビール大麦系統の特性
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概要
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北部九州において, ビール大麦は水稲との作期の競合が少ないため, 土地利用型作物として重要な位置を占めているが, 近年の暖冬等の天候不順によって, 収量や品質が不安定となっており, 作付面積は年々減少している. 現在, 同地域におけるビール大麦の播種適期は, 11月下旬〜12月上旬となっている. しかし, この時期は年次によって降雨による播種作業の遅延や出芽苗立数の減少が問題となることが多く, その結果, 熟期の遅れに起因する入梅期の降雨による品質低下や出芽数不足による減収を招いている. また, 現在の播種適期では, その幅が狭いため, ビール大麦作付の拡大を図るためには, より早い時期から播種できる品種の導入が不可欠である. よって, 比較的天候が安定する11月上中旬に播種作業が実施でき, 入梅前の5月中に収穫が可能な作型に対応できる品種の開発は, 生産現場からも強く求められている. 現在, 北部九州で作付けされているビール大麦品種(吉田ら 1991, 吉川ら 1997, 古庄ら 1999)は, 秋播性程度がIである. したがって, 早播すると茎立期が早くなり凍霜害を受ける危険性が高くなる. さらに, 節間伸長期も早くなり, ビール大麦の被害粒である側面裂皮粒が発生しやすくなる(浜地ら 1989a, 浜地ら 1989b). このため, 作期の早進化を可能とする, 秋播性程度が高い早生のビール大麦品種の育成および導入は, 北部九州のビール大麦の高品質安定生産に大きく寄与するものと考えられる. 筑系9318は, 福岡県農業総合試験場農産研究所二条大麦育種研究室が秋播性を付与した早生系統として選抜を行ってきた系統である. そこで, この系統の播種期が異なる場合の特性を調査し, 早播適応性について検討した.
- 日本作物学会の論文
- 2001-05-15
著者
-
山口 修
中央農業総合研究センター・北陸研究センター
-
馬場 孝秀
福岡県農業総合試験場
-
佐藤 大和
福岡県農業総合試験場
-
古庄 雅彦
福岡県農業総合試験場
-
甲斐 浩臣
福岡県農業総合試験場
-
山口 修
福岡県農政部
-
古庄 雅彦
宮崎大学農学部:(現)福岡県農業総合試験場
-
佐藤 大和
福岡県農業総合試
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