早播コムギにおける踏圧の有無が製粉特性に及ぼす影響

概要

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秋播型早生コムギ品種イワイノダイチを用いて,踏圧処理の有無が生育,収量および製粉特性に及ぼす影響について検討した。踏圧処理は製粉特性に大きく影響し,粉の灰分含有率およびタンパク質含有率が低下し,FN値は高く,粉の色相は優れる傾向を示した。灰分およびタンパク質含有率が低下した要因は,踏圧処理によって耐倒伏性が強化された結果として,粉へのデンプン蓄積量が多くなったため相対的に含有率が低下したと推察された。また,踏圧処理は耐倒伏性の強化によって,収穫期前の降雨によるデンプン品質への影響を低減させ,品質を安定させる効果が高いことが判明した。さらに,踏圧処理は収穫期前に降雨の多い不良環境条件下において顕著な効果が現れ,踏圧処理によって安定した粉の色相を有したコムギ粒が得られることが明らかとなった。以上のことから,秋播型早生コムギ品種イワイノダイチにおいても,踏圧処理は早播栽培における高品質コムギの安定生産するための技術として有効であると判断された。
日本作物学会の論文
2003-05-15