暖地水田における地力窒素発現パターンと施肥の診断 : 第2報 水田土壌の窒素無機化特性と水稲生育期間中の窒素吸収パターン
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概要
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福岡県内の代表的な水田土壌を対象に, 土壌窒素の無機化特性と水稲生育期間中の窒素吸収パターンについて検討した. 代かき前の作土を採取し, 室内定温培養実験を行った結果, 窒素無機化量 (N) と培養日数 (t) との関係は, モデル式 : N=N_0 (1-e^<-kt>)+Bによく適合し, 土壌窒素の無機化を特徴づける3つの特性値 : 可分解性窒素量N_0, 25℃における速度定数k (25℃), 見かけの活性化エネルギーEaが得られた. kは土壌の種類で著しく異なり, 地力窒素発現量はkの大きい土壌で多かった. 同一種の土壌では, 地力窒素発現量はN_0の値に左右され, 地力増強が進んだ圃場でN_0の値が大きかった. 温度変化によって受ける影響の大きさを表すEaには差がないと考えられた. さらに, 各試験地内の圃場で地力窒素発現量の推定を行うとともに, 水稲窒素吸収量の時期別推移を調べた. 窒素無施用区の水稲窒素吸収量を地力窒素吸収量の指標とすると, 地力窒素吸収量は圃場間で著しい差があり, 肥沃度が低い圃場は高い圃場に比べ, 地力窒素の総吸収量に占める生育前半の吸収割合が少なかった. 地力窒素発現量に対する地力窒素吸収量の割合は, 移植後25日 (7月半ば) 頃までは35%前後であったが, 移植後35日以降は70〜80%で推移し, 地力窒素が効率的に水稲に吸収されていることが窺われた. 肥料窒素の吸収量は土壌間で異なるものの, 地力窒素吸収量の土壌間差に比べ小さかった. また, 肥沃度が異なる各水田圃場の調査結果を基に, 収量レベルに対応した生育期間中の窒素吸収量の指標値を求めた.
- 日本作物学会の論文
- 1993-09-05
著者
-
田中 浩平
福岡県農業総合試験場豊前分場
-
山本 富三
福岡県農業総合試験場
-
角重 和浩
福岡農総試
-
山本 富三
福岡県農業技術課:(現)福岡県農業総合試験場
-
山本 富三
福岡県農業技術課
-
角重 和浩
福岡県農業総合試験場
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