ヘリグロテントウノミハムシの生活史に関する研究 : I.種々の寄主植物上での加害様相と発生経過
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概要
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千葉県松戸市および東京都葛飾区でヘリグロテントウノミハムシの各種寄主植物上での加害様相と発生経過を調査した。1)本種は寄主植物付近の落葉下等で成虫で越冬し, 3月中旬〜4月上旬に樹上に出現し始めた。そのピークは4月中旬〜5月上旬であった。越冬成虫の発生密度は寄主植物によって大きな差があった。2)越冬成虫は樹上で春季に交尾し, 4月中・下旬から産卵を開始し, 卵・幼虫数は5月上旬〜下旬にピークに達した。幼虫は比較的若い芽や葉でしか発育を完了できなかった。卵・幼虫の密度やその消長には寄主植物によって差があり, ヒイラギモクセイ, ヒイラギ, ネズミモチの生育相が季節的に本種の発生とよく同調していた。3)幼虫は潜葉性で, 3齢を経過したのち5月中・下旬から土窩の中で蛹となり, 約20〜30日を経て土中で羽化した。4)新生虫は6月中旬ごろから地上に出現し, 個体数は6月下旬〜7月上旬にピークとなった。成虫はこの時期に寄主植物に甚大な被害を与えた。5)ピークののち樹上の成虫数は7月中・下旬にかけて激減した。このころになると成虫の活動は不活発となり, この状態は秋まで続いた。また夏や秋にもわずかに卵や幼虫の発生がみられることがあった。6)10月〜11月にかけて樹上の成虫数は越冬のために減少し, 12月までに樹上からはほとんど姿を消した。これと時期を同じくして越冬場所の成虫数が増加した。越冬場所における成虫数は冬期間を通じてほぼ同じであった。
- 1989-11-25
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