ルーミスシジミ房総半島個体群の卵,幼虫,蛹の発生消長と発育経過
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概要
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房総半島の野外で2012年にルーミスシジミの発生消長を調べ,同時に飼育によって齢の進行を含む発育過程を明らかにした.1.アカガシおよびウラジロガシの春シュートから,卵が5月上旬に,幼虫が5月中旬〜6月中旬に,蛹が6月中旬〜7月上旬に採集された.さらに7月中旬には羽化後の蛹の殻が発見された.5月上旬頃に孵化した場合,野外での幼虫期間は約40日,蛹期間は約20日で,成虫は7月上旬頃から羽化すると推定された.2.アカガシ,ウラジロガシ,アラカシ,イチイガシ,ツクバネガシのラマスシュートを調査したが,7月下旬〜10月には,卵・幼虫・蛹はまったく得られなかった.3.蛹は樹上の緑葉裏で発見されたが,しばしば蛹の前後に葉の縁から線形または短冊形の切り込みを入れる加工を伴っていた.このような加工は初めて明らかになった.4.孵化〜蛹化まで飼育したすべての個体は,幼虫期に5齢を経過した.幼虫の頭幅は1〜5齢まで順に,0.29-0.30,0.42-0.46,0.69-0.75,0.98-1.15,1.68-1.83mmであった.5.先行研究で指摘されているように,本種は房総半島では年1化である可能性が高い.また,幼虫の終齢はこれまでほとんどの文献で記載されてきた4齢ではなく,5齢であると考えられた.
- 2013-07-25
著者
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井上 大成
森林総合研究所
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井上 大成
Tama Forest Science Garden Forestry And Forest Products Research Institute
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井上 大成
森林総合研究所森林昆虫研究領域
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井上 大成
千葉大・園芸
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井上 大成
千葉大学園芸学部:(現)農林水産省森林総合研究所四国支所
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