慢性期実習における学習達成状況の分析

概要

論文の詳細を見る
慢性期実習を行なった学生33名を対象に学習達成度を調査した。慢性期実習では学習内容を8項目抽出している。この学習内容がどの程度達成されているのかを知るために学習達成度スケールを用いて分析した。その結果,目標の達成度が3.00以上は60.6%であった。項目別達成度が最も高かった項目は「患者・家族を尊重した態度」で,最も低かったのは「必要な社会資源の理解」であった。項目間の相関関係が多かったのは,「病気の取り組み姿勢への援助」,「検査・治療に対する援助」項目であった。さらに,学習項目の達成度を上昇させる要因として,患者-看護婦関係の成立が重要であることが明らかになった。今回の調査対象は,対象別実習が開始されてまもない学生であり,日常生活の援助項目は他の学習項目との有意な相関関係を認めず,単独で高くなっていた。以上の結果から,慢性期実習の目標を達成するためには各学習内容の関連を認識させ,トータルケアが実践できるよう指導していくことが大切である。また,よい患者-看護婦関係が成立できるよう関わっていくことが重要である。
順天堂大学の論文
1992-03-25