ハチジョウススキ,オギ及びそれらの3x-,4x-雑種の生態的側面 : (3)地上部現存量及び刈取反応
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概要
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ハチジョウススキ(MISC),オギ(MISA)及びそれらの間の3倍性雑種(3x)と4倍性雑種(4x)について,地上部の生産性を明らかにするため8月中旬に刈取りを行った。各草種1株について現存量及び生産構造を調査し,別のそれぞれ1株について葉面積指数を推定した。第1報におけると同様,定植後2年目にあたる1983年4月から11月まで,約20日おきに萌芽苗条数を調査し,これを同期萌芽稈群(shootcohort)として扱った。調査及び結果の表示は原則として株当たりとした。結果は次のとおり要約される。1.地上部現存量 4草種の地上部現存量及びそれに対する同期萌芽稈群の寄与率には明らかな違いがみられた。両親種についてみると,MISAはMISCの約3倍の現存量を示した。前者ではその約80%が4月期群によって占められていたのに対し,後者では4月期群の占める割合は約45%で,残りを5月以降群が分担していた。刈取株のC/F比はMISCで約1,MISAでは約2であった。雑種のうち3xにはMISAの性質がさらに強調された形で表現された。4xもまたMISAに類似していたが,4月期群の寄与率,C/F比はともに3xに比べて低かった。2.生産構造,葉面積指数 MISCの生産構造はMISA及び両雑種と著しく異なっていた。全体に小型であり,最高草丈は4月期群によって達せられたが,株全体の生産構造は5月以降期群に大きく影響された。着葉層は全層に及び,最高乾重を示す着葉層は下半層に位置した。従って,下半層のC/F比も約1.3を示し,他に比べて著しく低かった。MISA及び両雑種は類似した構造を示した。株全体の生産構造は4月期群によってほぼ決定され,最大着葉層は上半部に位置し,下半部は殆んど非同化部(葉鞘,稈)によって占められていた。別の株を用いて推定した葉面積指数(LAI)は,MISCで7.13,MISAで2.76であった。3xはMISAに近似して2.79を,4xは両親のほぼ中間の4.02を示した。3.刈取反応 8月中旬の刈取りに対しても,MISA及び両雑種はMISCとは明らかに異なる反応を示した。MISCは刈取直後稈数を低下させたが,その後11月までに漸増傾向を続けて,無刈取りの場合(第1報)とよく似た稈数増加パターンを示した。これに対して,他の3草種は刈取直後から細い稈を多数密生させた。この傾向はとくにMISA及び3xにおいて強かった。稈数変化にあらわれた刈取反応は,3x>MISA>4x>MISCの順に強いと判断された。草冠投影面積の間接的推定から,各草種の単位面積当たりの現存量を試算して比較するとともに,上述の諸特性を両親種の利用事例に照らして,3x及び4x雑種の利用法について考察した。MISCのゲノムとMISAのゲノムを2:1の割合でもつ新しい3x雑種の育成についても示唆を与えた。
- 岐阜大学の論文
- 1987-12-25
著者
-
長谷川 俊成
岐阜大学農学部山地開発研究施設
-
松村 正幸
岐阜大学農学部付属山地開発研究施設
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松村 正幸
岐阜大学農学部附属山地開発研究施設
-
西條 好廸
岐阜大学農学部附属山地開発研究施設
-
西條 好廸
岐阜大学農学部
-
松村 正幸
岐阜大学農学部
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