ジャガイモ葉巻病ウイルスの虫媒伝染に関する知見 (2) : モモアカアブラムシにおける子虫へのウイルスの移行
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概要
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既報において, 冬季のみにPLRV保毒無翅胎生親虫によってPLRVに免疫のハクサイ切葉上で産出された次代子虫に, PLRVが低率ながら移行することをのべた。この現象をさらに確認するために実験を行なった。1966年11月から1967年2月にかけて20∿25℃, 15℃, および8.5∿10℃の3つの温度条件下で, PLRV罹病P. floridanaで継代飼育中の保毒親虫によってハクサイ切葉上で産出された2代子虫についての実験においては, いずれの温度条件下でもそれぞれ低率ながら2代子虫へのPLRVの移行が認められ, 8.5∿10℃>15℃>20∿25℃とより低い温度条件下ほどその頻度は比較的高かった。なお保毒2代子虫の出現と, 保毒親虫がハクサイ切葉上で経過した時間の長短との相関は認められなかった(Tables 1,2,3)。既報および上述の実験とは環境条件その他の相違はあるが, 21∿24℃の温度条件下で産出された2代子虫について1968年7月から12月にかけての主に夏季に重点をおいた実験では, 既報の結果と同様に2代子虫の保毒は認められなかった(Table 4)。保毒虫をハクサイ切葉上で多数飼育した後これらを完全に除去し, 同じハクサイ切葉上に健全虫を多数つけ, これら健全虫がハクサイ切葉からPLRVを獲得するかどうかを調べた結果, PLRVを獲得した個体は認められなかった(Table 5)。筆者らの飼育しているモモアカアブラムシについて, PLRV獲得, 保毒, 伝搬能力についての個体差の有無を調べた結果, とくに固定的な個体の特性をもつものはないと考えられた(Table 6)。保毒親虫から2代子虫へのPLRVの移行が低率であること, より低い温度条件下において比較的頻度が高いことなどの理由, および虫体内ウイルス濃度と検定植物における病徴発現との関係などについて考察した。
- 神戸大学の論文
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