ムギ萎縮病の研究 : VI. ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝播機作 (続報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 低温下 (0〜2℃) で乾燥し, 無酸素下 (5〜10℃) で貯蔵した, 病葉中のコムギ縞萎縮病ウイルス (WYMV) およびオオムギ縞萎縮病ウイルス (BYMV) はともに, 2年後においてもかなり強い感染力を示した。2) 前報より引続き行つた実験の結果, 病土から分離濃縮された粘土部分 (<2μ) 粒子の病原性の強いことが, 播種試験および摩擦接種試験により, 再確認された。これらの粘土部分の粒子中には線虫類を全く認めず, また特記すべき頻度であらわれる糸状菌または細菌類を認めなかつた。さらにこの粘土フラクション中には, 根毛と判別できる植物の組織を認めなかつた。3) 罹病植物汁液を粘土鉱物およびその他の土壌に吸着させ, 比較的高温下 (10〜15℃) で貯蔵した結果, WYMVおよびBYMVはともに, 約8ヵ月後の次のシーズンまでわずかながらその病原性を維持した。4) 以上の諸事実とこれまでの実験結果から, ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝播機作を説明するためには, 必ずしも特定の微生物的媒介者あるいは罹病植物の残根の存在を必要とせず, 蛋白質を吸着し保護すると考えられる粘土部分の土壌粒子 (無機および有機のコロイドを含む) がこれらのウイルスを吸着して伝播者の役割を果しているものと考える。
- 1959-11-25
著者
関連論文
- 反応の異なるNicotiana属植物の茎に導入されたタバコモザイクウイルスの動向 (I) : N. tabacum cv. Samsun(植物防疫学)
- タバコモザイクウイルス弱毒系統「SA-10」の性質
- 交互温度変化の条件下で全身的または局部的に感染したNicotiana glutinosa植物を連続通過させて生じたタバコモザイクウイルスの弱毒系統について
- TMV感染に対するN. rustica植物の反応に及ぼすアスコルビン酸の影響
- 反応の異なるNicotiana属植物の茎に導入されたタバコモザイクウイルスの動向 (III) : N. rustica(植物防疫学)
- 反応の異なるNicotiana属植物の茎に導入されたタバコモザイクウイルスの動向 (II) : N. tabacum cv. Samsun NN(植物防疫学)
- サムスンタバコ植物体内におけるタバコモザイクウイルスの移行
- ジャガイモ葉巻病ウイルスの虫媒伝染に関する知見 (2) : モモアカアブラムシにおける子虫へのウイルスの移行
- ウイルス感染植物の局部病斑と頂端えそ発現との関係
- ジャガイモ葉巻病ウイルスの虫媒伝染に関する知見
- ムギ萎縮病感染植物におけるX体の発現時期,乾燥貯蔵病土の病原性維持,および薬剤による防除
- 消毒剤としての木酢液の有効成分の解析
- トウガラシのウイルス病について(第2報)
- 暖地ビート立枯病菌に対する木酢液の殺菌効果
- トウガラシのウイルス病について(第1報)
- (105) 麦萎縮病防除の為の火炎放射器の試作及びその実際効果 (昭和31年度大会)
- ムギ萎縮病の研究 : VI. ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝播機作 (続報)
- (87) Hypersensitive host における systemic necrosis について (ウイルス病(昭和40年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 植物ウイルスのhypersensitive hostにおけるsystemic necrosisについて
- サトウダイコン立ち枯れ病を起すRhizoctonia candida YAMAMOTOの寄生性について
- (53) ウイルス病における局部病斑と全身えそとの関係 (関西部会)
- Nicotiana glutinosa 葉における ectodesmata および plasmodesmata の数と対 TMV 感受性との関係
- 3. 媒介微生物不明の土壤伝染ウイルス (B. 土壌伝染)
- (17) 土壌施薬によるオオムギ縞萎縮病の防除 : ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝搬機構に関連して (昭和40年度地域部会講演要旨(関西部会))
- (146) 活性炭副産物木酢液の有効成分の解析 (昭和38年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (20) 土壌消毒剤としての木酢液の実用化と適用範囲の拡大 (昭和37年度地域部会講演要旨(関西部会))
- ムギ萎縮病の研究 : VII ムギ萎縮病の防除, とくに木酢液土壌散布の効果について
- (98) ムギ萎縮病の防除, とくに木酢液土壌散布の効果について (続報) (ウイルス病(昭和36年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- (82) ムギ萎縮病の防除法, 特に木酢液土壌散布の効果について (ウイルス病(昭和35年度日本植物病理学会大会))
- (3) ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝播機作について (第1報) (昭和33年度関西部会)
- (154) ムギ萎縮病ウイルスの土壌伝播機作について (第2報) (ウイルス病(昭和33年度 日本植物病理学会大会講演要旨))
- ムギ萎縮病の研究 : IV. オオムギ縞萎縮病ウイルスについて (その2)
- ムギ萎縮病の研究 : II. オオムギ縞萎縮病ウイルスについて (その1)
- (27) 大麦縞萎縮病ウイルスの性質 (昭和32年度関西部会)
- (3) 小麦縞萎縮病バイラスに対するコムギ属, エギロプス属及びアグロピロン属植物の感受性について (昭和31年度関西部会)
- ムギ類の土壌伝染性ウイルス病
- 煙草モザイク病バイラスの病原性と抗元性との関係