反応の異なるNicotiana属植物の茎に導入されたタバコモザイクウイルスの動向 (II) : N. tabacum cv. Samsun NN(植物防疫学)
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概要
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Nicotiana tabacum cv. Samsun NNの根を除去した茎植物を水栽培下で供試し, 茎下端から純化TMV液を導入することによる感染あるいはTMVの動向について, 常温下と30℃の温度条件下で行なった実験の結果を述べた。1. 切除72∿120時間後の茎下端からTMV液を30分∿3時間導入させ30℃下で生育させた茎植物はほとんど感染しなかったが, 同様の条件下でTMV液を導入し, その直後に茎下端から6∿21cm上方の部位で茎下部が切除または摩擦処理された茎植物は感染・発病した。2. 切除直後の茎下端からTMV液を15分∿1時間導入されたのみの茎植物は, 供試個体の約50%が感染・発病した。同じ切除直後の茎下端からTMV液を5分∿1時間導入した直後に茎下端から5∿7cm上方で茎下部が切除された上茎は, 供試個体の約80%, 10∿12cm上方で切除された上茎は40%, さらに30分∿1時間導入したのち20∿21cm上方で切除された上茎は約20%が感染・発病した。なお, TMV液導入直後に茎下部を切除処理した上茎を常温下(20∿29℃)で生育させた場合の発病個体は, 比較的早い時期に頂端えそを発現したが, 発病は非常に低率であった。3. 同じ体形に整えられた茎植物の茎下端または茎上端からTMV液を導入した場合, 茎下端からは10分の導入直後に10cm上方で茎下部が切除されることにより本体は感染・発病したが, 茎上端からの導入では10cm下方で上茎部が切除されることにより本体が感染・発病するためには1時間の導入時間を必要とし, 両茎端からのTMVの導入速度の相違が示された。4. 茎下部を変性処理した茎植物にTMV液を茎下端から導入した場合, 変性茎下部から上方の生組織へTMVは導入され, その部分の切除により上茎が感染・発病した結果などからも, 本報における茎下端からのTMV液の導入は, 木部導管を上昇したものと思われる。5. 4成葉のみに整えた茎植物の4成葉の中間茎の表皮組織にTMVを摩擦接種した場合, 30℃下で生育させた個体を常温に移してえその発現を観察した結果, TMVは急速に頂部成葉およびそのわき芽に侵入したのち, 下部の成葉およびそのわき芽に至る様相が示された。他方, 同様の摩擦接種後20∿25℃下で生育させた個体では, 接種部位を中心に上下両方向へのある程度のえその進行のみが認められた。
- 神戸大学の論文
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