タバコモザイクウイルス弱毒系統「SA-10」の性質
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概要
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TMV-Oを親ウイルスとして, 30℃下(3回)と35℃下(7回)における全身感染と25℃下における局部感染(10回)とを組合せ, 交互にN. glutinosaを連続通過(10 passages)させることにより得られたTMV弱毒系統SA-10(小國ら, 1983; OGUNI et al., 1983; 小國ら, 1984 a, b)の性質について, TMV-Oのそれと比較検討するとともに, TMV-Oの増殖及び病徴発現に対するSA-10の影響について調べた。耐希釈性については, SA-10の希釈限界は(10)^<-7>∿(10)^<-8>であり, TMV-Oは(10)^<-8>でなお感染性が認められた。耐熱性については, SA-10は90℃, 10分間の処理で失活したが, TMV-Oはなお感染性を示した。血清反応については, TMV-O抗血清に対し, SA-10はTMV-Oと比較してやや反応は弱いが, ともに抗血清終末希釈160倍まで反応した。Samsun及びN. sylvestrisの接種葉及び頂葉部における両ウイルスの増殖については, Samsunの接種葉で得られた結果以外は, TMV-Oと比較してSA-10の経時的増殖度は, 明らかに低いことが示された。接種10日後のSamsun及びN. sylvestrisの, とくに最頂葉部の病徴については, SA-10接種個体は, ウイルスは回収されたが, ほとんど無病徴であり, TMV-O接種個体の典型的なモザイク病徴と明らかに相違していた。TMV-Oの増殖に対するSA-10の影響については, 両ウイルスの10倍希釈液(SA-10の10倍希釈液はTMV-Oの100倍希釈液とほぼ同数の局部病斑をN. glutinosaの対半葉に形成する)を供試して検討した。両ウイルスを対半葉に同時接種した7日後のSamsunの頂葉部では, TMV-Oの増殖に対するSA-10の影響はほとんど認められなかったが, 15日後では, SA-10の影響がわずかに認められた。SA-10を1次接種し, 4日後にTMV-Oを2次接種したSamsun及びN. sylvestrisの2次接種5日後及び10日後の頂葉部では, SA-10の存在がTMV-Oの増殖を明らかに抑制していることが示された。またSA-10を1次接種した8日後に, TMV-Oを2次接種したSamsunの, 2次接種5日後及び10日後の頂葉部においても, SA-10によりTMV-Oの増殖が抑制される傾向が認められた。
- 神戸大学の論文
著者
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宮本 セツ
神戸大学大学院自然科学研究科
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宮本 セツ
神戸大学農学部植物病理学研究室
-
宮本 雄一
神戸大学農学部植物病理学研究室
-
章 元寿
神戸大学農学研究科研究生
-
宮本 雄一
神戸大学大学院自然科学研究科
-
小國 昭信
神戸大学大学院自然科学研究科
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小國 昭信
神戸大学自然科学研究科
-
宮本 雄一
神戸大学農学部
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