就学前後の平仮名書字における誤字の発生とその変化
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概要
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多くの子どもたちは,小学校に入学する頃にはある程度の平仮名書きを習得している。しかし,組織的な書字指導が行われない幼児期には,字形を誤って学習してしまう状況が少なからず存在する。このため,小学校に入学した後の文字学習においては,平仮名書きの新たな習得とともに,誤学習により定着した誤字の修正が重要な目標となる。そこで本研究では,27名の子どもを対象として,幼稚園の年長時と1年時の年度末に平仮名書字の状態を観察し,その誤字内容の変化から,誤字の修正を促すための小学校での一斉指導における配慮事項を提案することを目的とした。その結果,就学直前の幼児期には,無反応の他に崩壊,異字など,字形が大きく崩れた誤字タイプが多く観察された。一方,1年終了時には,原型保存,異配置など,字形の部分的な崩れを示す誤字タイプがほとんどであった。このことから,小学校における一斉指導において,字形の大きな崩れは修正されやすいが,文字の部分的な崩れは十分に修正されない可能性があることが示唆された。また,描画機能の発達は書字行為の全体的な向上には関連していると考えられたが,そのことが必ずしも平仮名書字における細部の誤字修正には結びつかない場合があることも示唆された。以上のことから,1年生に対する平仮名書きの一斉指導においては,板書とともに手元で字形を確認できるプリントを併用したり,グループ学習により児童が相互に評価し合う機会を作るなど,誤字の細部にわたる修正を可能とする学習環境を計画的に設定することが必要であると考えられた。Preschool children are apt to write wrong Japanese letters (hiragana) because they have little chance to acquire handwriting skills systematically. They therefore need to correct their wrong letters by themselves when they become school children. This study was planned to propose the handwriting teaching method to the teachers who were teaching handwriting skills to first-grade children in the regular class. Twenty-seven children were given the writing task of 10 letters two times, at the end of the year of preschool and the first grade. The wrong letters at those times were classified into five error types, and the distributions of the types were compared. The main result was that many letters that got out of letter shapes were observed in preschool children, but in first-grade children there were few those letters and there were just letters that had partial errors. From these results some teaching methods of handwriting in the regular class were proposed to improve children's corrective abilities in handwriting, for example, using a letter-model sheet or making children assess their writing letters each other.
- 上越教育大学の論文
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