幼児における表現活動の発達と筆圧調整機能
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概要
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書字学習をすすめるためには,基本的な運筆機能を獲得していることが必要である。この運筆機能は,幼児期の描画を中心とした表現活動の中で獲得されていくものと考えられる。そこで本研究では,就学前の書字学習初期にある年長幼児を対象にして,描画の発達状態と運筆機能の獲得状態との関係を分析し,書字学習の基礎的活動としての表現活動の意義について検討した。描画の発達状態を人物画(DAM)により評価し,その結果と,運筆機能の評価に採用した教示に基づく筆圧の調整状態との関係を分析した。個別に筆圧の調整状態を分析した結果,教示通りに筆圧を変化させることができない者がおり,その数は描画の発達月齢が低い群に多い傾向がみられた。すなわち,教示に応じて適切に筆圧強度を変化させるなど,固有の筆圧との関係で自らの筆圧を調整するような運筆機能の獲得には,筆記用具を用いる描画活動の積み重ねが重要であることが示唆された。また,書字学習導入後の児童においても,運筆機能の獲得につまずいているような場合には,描画を中心とした活動を積極的に取り入れることが必要であると考えられた。This study examined the effect of the development of expressive activity on the modulation of handwriting pressure in preschool children. Draw- a-man test as an index of the development of expressive activity and the tasks of the modulation of handwriting pressure following verbal instructions were given to twenty-eight preschool children. The results were as follows: (a) Children who belonged to lower groups of drawing development showed a tendency to have more difficulties of modulating handwriting pressure. (b) In these children the writing pressure was excessively or reversely modulated. These results suggested that expressive activities such as drawing or painting were important activities for children to acquire the ability of using pencils.
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