通常学級における平仮名書字指導の諸問題
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概要
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小学校の通常の学級に在籍する児童の中に,一斉指導だけでは平仮名書きを十分に習得できない児童がおり,そのような児童に対するより適切な指導方法が求められている。そこで,平仮名書字の一斉指導及び個別指導の方法とそれらの問題点を1年生の学級担任を対象にしてアンケート調査した。本研究の目的は,この調査を通して通常学級における平仮名書字指導の現状を把握し,今後検討すべき課題を明らかにすることである。その結果,検討課題として以下のことが明らかにされた。第一は指導時間の確保である。1年生という学年も考慮して,一斉指導の中で個別指導の時間をいかに確保していくかが課題である。第二は児童の学習状態にみる個人差の問題である。学級の中には書字学習が極めて困難な児童からほぼ学習が終了している児童までいる。一斉指導の中でそれらの児童が興味を失うことなく学習ができるような工夫が必要である。第三は鉛筆の持ち方,字形,筆順の改善をいかに行うかという問題である。入学時に既に平仮名書きを学習している児童の中に,誤った学習をしている者が多く,その状態の把握方法と改善の手だての工夫が必要である。第四は筆圧のコントロールの問題である。書字学習困難児の中には筆圧が弱い児童がおり,筆圧を適切にコントロールできるようにするための指導方法の工夫が必要である。First-grade teachers in Joetsu Area were surveyed with a questionnaire that asked about the teaching method of handwriting and its problems in their regular classes. The investigation revealed the following problems : 1. Teachers are teaching children who have disabilities in writing Japanese letters (hiragana) with all other children in their classes. Therefore they manage to find time to teach such poor writers during the lesson. 2. Because first-grade children enter an elementary school with big individual variations in writing abilities, it's very difficult that teachers fascinate all children to learn how to write letters. 3. Some children who have already learned how to write letters have a bad grip of a pencil, write a letter with a wrong shape and a wrong writing order. Teachers are required to evaluate those problems in each child, so we need a new method to do it. 4. Some children write letters with an inadequate writing pressure. We need a new method to evaluate a writing pressure and made it better.
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