科学教育における物理量の処理方法とモル演習の方略について
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概要
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自然科学の記号表現,例えば物理量や数値とか法則の等式あるいは計算式には,科学の考え方や理解の仕方が端的に現れる。この論文では,これらの表現を取り上げ,科学演習全般の方略を検討した。第2節ではまず,二つの物理量の商が新しい物理量となる場合,量商とよび,これを科学教育的な視点から議論した。科学教育における問題演習は,科学の理解を深めるために課すものだから,問題の表現と解法は,科学の考え方と方法に基づいて組み立てられることになる。第3節では,物理量の記号処理でまず必要となる「物理量の表記法」「物理量間の演算法」「表とグラフの表現法」の試案をまとめた。「物質量とモル」は,生徒・学生にとって化学学習における陸路である。そこで第4節では「物質量とモル」演習問題を新規に作成しあるいは文献から採録し,学習者の理解を促すための検討を試みた。第5節では,高校教育にみられる典型的な,モル化学計算問題を取り上げた。各種の問題を整理し,問題の本質と形式とを見通せるように,相互に変換される問題群として定めた。本論文で採用する「物理量バランス法」は,日本の現行中等教育での「数の比例計算法」とは全く違っている。等式の物理的な意味をはっきりさせ,物理量間でバランスをとることで,方程式を立てるのである。最後の節で初等数学と「物理量バランス法」の立式法を比較し,両者の連携を論じた。The essence of thinking and understanding about natural science appears directly in symbolic expressions such as physical quantities, numerical values, equations of laws, and formulations in problem solving. This paper describes the handling of such expressions and the planning of mole calculation in science education. In section 2, the quotient between physical quantities is discussed from the educational point of view. Formulating scientific problems and problem solving should be constructed on the basis of scientific principles, because every exercise in science education is given to students for deeper understanding of natural science. Three proposals are summarized in section 3; a method of expression for physical quantities, a method of calculation for physical quantities, and a method of representation for tables and graphs. Section 4 deals with a collection of many exercises with relation to amount of substance and the mole, and with their solutions. Section 5 shows a group of exercises for mole calculation in high school chemistry, between which the transformation throws light upon the essence as well as the outward form. The method of "balancing of physical quantities" in this paper makes an equation for each exercise after balancing of two physical quantities, called PQE (physical quantity for equating), on both sides of the equation.
- 上越教育大学の論文
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