<原著>食用油の光過酸化抑制に対するβ-カロテン濃度の影響

概要

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市販の食用コーン油及びナタネ油にβ-カロテンを添加した試料油に太陽光線を照射し, その過酸化物価(POV)とチオバルビツール酸価(TBA)を経時的に測定し, β-カロテン濃度との関係を調べた.太陽光照射条件下でβ-カロテン無添加食用油の過酸化誘導期がほとんど0日であるのに対し, β-カロテンを添加したときに, その濃度に依存して誘導期は延長され, 28mg%以上では10日を越えた.またPOVはβ-カロテン濃度が高くなるにしたがって小さくなった.一方, 試料油のTBA値は対照のTBARS(TBA反応生成物)の生成誘導期が3日であるのに対し, β-カロテン28mg%以上では10日以上に延びた.この間β-カロテン濃度は過酸化誘導期まで少しずつ減少してゆき, 過酸化誘導期及びTBARS生成誘導期に入るとその褪色速度は大きくなり, TBA値上昇時にはさらに急速に減少した.これらのことから, β-カロテンの食用油における光過酸化抑制の機構は不飽和脂肪酸のパーオキシラジカル消去が主たる反応であると考えられる.また食用油に添加する望ましいβ-カロテン濃度として, 本実験結果から10〜20mg%が適当と考えられる.その有効な手段一つとして市販レッドパーム油(カロテン約60mg%)の食用油への添加がある.
2001-12-25