アマランサス子実の成分組成とその調理上の問題点
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概要
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アマランサスは有望な新作物であるが,食材料としての学術情報が乏しい。そこで一般成分ならびに,酵素重量法によって食物繊維,偏光ゼーマン原子吸光分光光度計によって無機質(金属元素)を定量し,他穀類と比較考察した。オートミールを凌ぐ高蛋白質,高脂質の穀物で,食物繊維は穀類の水準を越えて豆類に近く,カルシウム,鉄など各種無機質に富んでいた。この栄養学的に優秀な素材を活用するため,10種の調理法を試み,問題点を探った。うち9種はアマランサスを補助材料として混入した食品で,増粘と膨化の効果があるが褐変し易くなることが認められた。単品の調理法としてポップ性に着目し,その生成条件を検討した。また,10種のうち8種は粉食型調理法であったが,これらの結果を基に,より理化学的た試験研究を続けて有望な調理法を開発する予定である。本研究には,代表的な子実用品種2種,すなわち,Amaranthus hypochondriacus(Ah)とA. caudatus(Ac)の,それぞれモチ種を用いた。成分組成をみると,糖質のみはAc子実の方が多かったが,その他の成分はすべてAh子実に多く含まれていた。調理上の特性には,両者問にほとんど差はなかった。本研究の実施にあたり,情報と試料の提供を頂いた篤農家・牧野地氏,岡山県農試・木本英照および海野孝章氏,和光薬品kk・市村兼夫氏,本学教授・島村和夫氏,顕微鏡写真製作に協力を頂いた本学講師・小野章史氏,金属元素の測定をお願いした広島大学・佐藤明氏,率業研究として協力を頂いた川崎医療短大・栄養科学生動定信子,川井みゆき,辻あゆみ,長嶺敦子君に謝意を表する。
- 1992-08-20
著者
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三宅 妙子
川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科・川崎医療短期大学介護福祉科
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武政 睦子
川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科
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三宅 妙子
川崎医療福祉大
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今村 経明
川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科
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