交流教育に関する研究 : 障害児との交流経験がもたらす意識の変容について

概要

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教育現場では近年,交流教育の必要性がかなり認識されているが,交流教育の内容をさらに充実されることが求められている。本研究では,小学校時代に養護学校との交流教育を経験した中学生と,交流経験のない中学生との間に,障害児の理解,養護学校・特殊学級の理解にどのような差異があるかを検討し,交流教育の意義について考察を加えたもので,北海道鷹栖養護学校と本大学障害児研究室との共同研究として取り組まれた。鷹栖中学校全校生徒298名を対象に,質問紙法を用いた。その結果明らかとなった主な点は,次の通りである。(1)交流経験の有無にかかわらず,この地域の生徒の障害児に対する関心が全体的に高いことが示された。(2)養護学校との交流経験のある小学校出身者と,交流経験のない小学校出身者の比較では,交流経験のある生徒の障害児への理解・認識において同情心だけではなく,交流経験からの意識の深まりが見られた。(3)当該中学校に設置されている特殊学級に在籍する精神遅滞児の親学級の生徒は,他の生徒よりも障害児に対して受容的である。(4)男女の比較では,女子が男子よりも障害児に対し受容的である。(5)学年別の比較では,1年生が最も障害児に対し関心を示しており,また,学年が上がるにつれ障害児に対する理解度が深まっていると考えられる。これは,学童期の障害児との交流経験が継続的に維持されると共に,人間理解の深まりまでもたらす可能性を示唆するものである。
1992-03-31

交流教育に関する研究 : 障害児との交流経験がもたらす意識の変容について

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