妊産婦の精神状態と不安内容の関連性

概要

論文の詳細を見る
妊産婦の精神的サポートについて検討することを目的に,妊産婦を対象に,妊娠初期と産後5日目および1ケ月目の精神状態(抑うつ,Maternity blues,産後うつ病,不安内容)を縦断的に調査し,妊産婦の精神状態の変化および不安内容との関連性について調査した結果,以下の点が明らかになった。1.抑うつ状態の発現頻度は妊娠初期が最も高く,次いで産後1ケ月目,産後5日目となっていた。2.抑うつ状態は全ての時期において初産婦に高率であった。3.妊娠初期の抑うつ状態は,産後5日目および1ケ月目の精神状態に影響を及ぼしていた。4.妊娠初期に抑うつ状態にあった者は,妊娠経過に関する不安を強く持っていた。5.産後5日目の不安内容は母乳栄養を含む育児に関するものが主であった。6.産後うつ病には産後5日目の精神状態が大きく影響していた。7.全ての時期において,抑うつ状態群が不安が高い傾向にあった。今回の調査より,妊娠初期の抑うつ状態は産後5日目および1ケ月目より高く,また産後5日目および1ケ月目に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。これらより,妊娠初期からの精神的サポートを強化し,抑うつ状態を軽減する必要性が示唆された。妊娠初期の健診から,妊娠経過の良否・胎児健康状態および胎児の発育状態などについて,妊婦が納得できるように説明し,妊婦の不安要因を少なくしていくことが妊婦初期の抑うつ状態を軽減することに繋がる。それがひいては,その後に続く妊婦・分娩・産褥期の精神的安定をもたらし妊産婦の精神保健に貢献できることが示唆された。
神戸市看護大学短期大学部の論文
2002-03-06

妊産婦の精神状態と不安内容の関連性

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク