胆道の病理 : 胆道と膵臓の潜在的可塑性から観察
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概要
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胆道病理を従来とは異なった観点から検討した.胆道と膵臓は,ほぼ同じ時期に前腸から派生し,胆道と膵臓の発生と形成に共通の遺伝子の関与することが注目されている.また胆道周囲には生理的に付属腺があり,これに混在して膵外分泌腺が同定されることがある.これらの知見から胆道と膵臓は潜在的に相互に変化しうる可能性があると考えられる.胆道と膵臓には多種類の疾患がみられるが,共通した病態を示す疾患がある.IgG4関連硬化性疾患,管腔内乳頭状腫瘍が代表的である.これらの疾患の病態の理解には,胆道と膵臓の病態生理の共通性と可塑性を考えると理解しやすい.従来とは別の観点から胆道病理を観察することにより,これらの疾患以外にも,胆道と膵臓の相互の可塑性により理解あるいは考察できる胆道疾患が存在すると思われる.
- 日本胆道学会 = Japan Biliary Associationの論文
- 2010-03-31
著者
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中沼 安二
金沢大学形態機能病理学
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中沼 安二
金沢大学医学系研究科形態機能病理学
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中沼 安二
厚生労働省
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中沼 安二
金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理学
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Nakanuma Yasuni
Department Of Human Pathology Kanazawa University Graduate School Of Medical Science
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中沼 安二
Department Of Human Pathology Kanazawa University Graduate School Of Medicine
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