レジオネラ症集団感染患者の精神的健康と日常生活の変化との関係
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概要
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目的 本研究は,2002年6月~7月に宮崎県日向市の入浴施設で発生したレジオネラ症集団感染後の精神的健康状態を把握し,健康被害者の心のケア対策を検討することを目的とした。<br/>方法 宮崎県日向市の循環式温泉入浴施設を2002年 6 月20日から 7 月23日までの期間に利用し,医療機関から保健所に報告のあったレジオネラ症患者および疑い患者295人のうち研究の趣旨を理解し調査への参加に同意が得られた153人を対象に,2002年10月12日から12月 5 日までの間に,訪問による面接調査を行った。精神的健康は,DSM-IVの PTSD 診断基準に基づいて調査項目を作成し,「ストレス状態」を捉えた。また,日本版 GHQ 精神健康調査票(GHQ28)を用い,神経症症状のハイリスク者と「身体的症状」,「不安と不眠」,「社会的活動障害」「うつ状態」の 4 要素の症状出現を捉えた。これらと,事前知識や情報の有無,日常生活への影響および経済支援の有無との関連を検討した。<br/>成績 PTSD の診断基準に準じた「ストレス状態」にある者は,27人(17.6%)であった。GHQ28による神経症症状のハイリスク者は39人(25.5%),4 要素別にみると「身体的症状」44人(28.8%),「不安と不眠」21人(13.7%),「社会的活動障害」18人(11.8%),「うつ状態」5 人(3.3%)であった。「ストレス状態」については,疑い患者において,人間関係の変化との関連が有意であった(P=0.022)。また,GHQ で捉えた神経症症状のハイリスクについては,確定患者において経済支援(P=0.009),疑い患者において原因調査(P=0.035)との関連が有意であった。<br/>結論 集団感染発生から 3~4 か月後の調査で,精神的健康が損なわれている状況がみられた。健康被害者の心のケア対策としては,人間関係や経済的問題に配慮したケアが必要で,発生直後から 1~2 か月ではなく,継続した対応が望まれる。
- 日本公衆衛生学会の論文
著者
-
前田 ひとみ
宮崎大学医学部看護学科
-
鶴田 来美
宮崎大学医学部看護学科
-
藤井 良宜
宮崎大学教育文化学部
-
村方 多鶴子
宮崎大学医学部看護学科
-
加藤 貴彦
宮崎大学医学部公衆衛生学教室
-
加藤 貴彦
宮崎大学医学部 社会医学講座 公衆衛生学
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