高齢者の高齢者認識に影響する要因 : 老人クラブ会員を対象として

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高齢者が自分自身を高齢者と認識しているのか,高齢者としての認識に何か影響しているのかを明らかにするため, A市老人クラブに加入している65歳以上の会員536名(75.8±5.3歳)を対象に無記名による自己記人式質問紙調査を行った。対象者が高齢者だと考える年齢の平均は73.8歳,自分を高齢者だと思っている人と思っていない人はほぼ同数であった。自分自身を高齢者だと認識している人は自分の年齢より低く,認識していない人は自分の年齢よりも高く,高齢者の年齢を設定していた(p<0.001)。高齢者認識の有無と基本的特性,健康に関する項目の全9項目とx^2検定を行った結果,6項目が有意であった。このうち基本的特性である家族構成,学歴を除いた4項目を説明変数,高齢者認識の有無を目的変数として,多重ロジスティックモデルを用いて分析した結果,身体状況(odd ratio : 2.6, 95% CI : 1.69-4.00),生活満足(odds ratio : 0.6, 95% CI : 0.38-0.95)との関連が有意であった。高齢者認識に対しての理由について自由記述してもらった結果,自分自身を高齢者だと思っている人は喪失体験を表現しているのに対し,高齢者だと思っていない人は今の自分の役割を認識し,その役割が果たせていることを肯定的に表現していた。高齢者の高齢者認識に影響する要因として,自身の身体状況や生活満足が密接に関わっていることが示唆された。身体状況の不具合さ,身体機能や体力の低下,できなくなったという喪失体験が高齢者として認識させ,生活に対する満足,できるという自己効力感が,高齢者であっても高齢者として認識しないことが明らかになった。高齢者の自己効力感を高められるようにするためには,高齢者が社会的役割を担える地域づくりが必要であることが示唆された。
日本健康医学会の論文
2011-01-31

高齢者の高齢者認識に影響する要因 : 老人クラブ会員を対象として

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