Penicillium roquefortiによる乳蛋白の変化(第6報) : 他菌種との比較及び揮発性脂肪酸の影響
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概要
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P. roquefortiの乳成分に対する作用をAsp. oryzae, Asp. niger及びP. camembertiのそれと比較することによって,ロックホール型チーズにおいてP. roquefortiの果す役割を知ろうとした.そこでこれらの菌株の乳糖消費程度,酵素標品の蛋白及び脂肪分解度を比較し,さらにP. roquefortiの乳蛋白及び乳脂肪に対する作用の特徴を調べた. P. roquefortiの蛋白分解作用は他菌種に比し著しく弱く,特に培地には殆んど蛋白分解作用がない.乳脂肪に対する作用はP. roquefortiが最も強くて,菌体内リパーゼと培地に分泌されるリパーゼが存在し,後者は乳脂肪から揮発性脂肪酸を比較的多く遊離させる特微がある.この揮発性脂肪酸はロックホール型チーズの風味成分として重要であるのみでなく,チーズに存在する量では蛋白分解作用を著しく阻害することを発見した.同様に食塩も単に調味的効果をもっものでなく,チーズに加えられる量になると蛋白分解作用を抑制する.これらはまたアミノ酸の分解をも阻害するから,ロックホール型チーズで起る蛋白質の変化は極めて弱いものになる.これに反してP. camembertiは蛋白分解作用が著しくて脂肪分解作用が弱い.このようなことがロックホールチーズとカメンパーチーズの風味の異なる原因になっている.乳糖の消費は菌種間に殆んど差がなく,チーズカード中に生成される乳酸も全く蛋白質の変化に影響しない.従って乳糖の変化はロックホール型チーズの風味形成に大きな影響をもつものではない.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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