牛乳および乳製品の無機塩類に関する研究 : III. 灰分中の鉄,銅およびモリブデン量
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概要
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牛乳中のFe, CuおよびMoの含量を測定した結果を,試料の種類,地域,季節,泌乳期および個畜別に整理して考察した.Feは搾乳後受乳までの間に,Cuは市乳処理工程で,牛乳を汚染する可能性があるため,これらの元素は,市乳では,搾乳当時の原乳よりも多くなる.Fe含量は,搾乳時に65.92±18.47μg,市乳で75.75±33.35μgを示し,從来報告されている値(100μg以上)よりはるかに少ない.Cuは,合乳中に15.10±6.69μg含まれるが,市乳では24.74±13.22μgとなる.この増加は汚染によるもので,処理工程が複雑な粉乳ではさらに著しく,28.51±19.61μgとなる.標準偏差も,汚染の可能性とともに増大し,器具の良否の影響を精示している.しかしMoには,処理による変化が全くみられない.Moには地域差も認められないが,CuおよびFeでは,処理および取扱いの影響がより顕著で地域差については判断できなかつた、季節的変化をみると,Moは冬,CuおよびFeは春に高くなり,いずれも夏に最低となる.また泌乳末期には,Cuが急激に増加する.Moも.泌乳後期に向かつてやや増加する傾向があるが,泌乳停止前にはふたたび低下するものもある.以上,三者の相関をみると,CuとMoの高低は相反し,CuとFeとは同時に増減することが認められた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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