牛乳および乳製品の無機塩類に関する研究 : X. ジヤージー牛乳の無機質
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概要
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わが国にいるジャージー牛は,現在,全乳牛飼育頭数の2.7%に過ぎないが,ホルスタイン種に次ぐ品種である.しかし,この品種の乳の無機質組成は,ほとんど研究されていない.そこで,1963年2月から1年間にわたつて,ジャージー乳牛群の合乳について,各種元素量を測定した.それは,K:139.5mg, Na:35.6mg, Ca:130.5mg, Mg:14.0mg, P:99.7mg, Cl:80.5mg, S:22.9mg, Fe:67.0μg, Cu:13.0μg, Ma:6.3μg, Zn:333.8μg, Mn:3.9μg/100gであつた.これをホルスタイン牛乳と比較すると,(i) K, Na,およびClが少なく,(ii) Ca, Mg,およびPが多く,(iii) Fe, Cu, Zn,およびMoが多い.すなわち,著者らの分類によれば,(i) 牛乳中で水溶性の塩となつている元素の含量がジャージーに少なく,(ii) カゼインに結合している元素(やや多く),(iii) 脂肪球に吸着きれている元素がジャージーに多い.そこで,ジャージー牛乳は,(i) 固形分が多く(水分が少なく),(ii) 蛋白質が多く,(iii) 脂肪が多いために,以上のように,ホルスタイン牛乳と異なると考えた.そして,日本の牛乳は,ホルスタイン牛乳が大部分であり,しかもそれが高脂肪低蛋白の傾向にあるため,欧米の牛乳に比べて,Ca, Mg,およびPが少なく,K, Na,およびClが多いと考えた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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