花粉の生化学的研究(第3報) : アカマツ花粉のアミノ酸について
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概要
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開葯時及び室温2年間保存のアカマツ花粉(前者を試料I,後者を試料IIとする)について,遊離アミノ酸蛋白質構成アミノ酸及び微生物,グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性などを検索し次の結果を得た. (1) 遊離アミノ酸として試料Iでは著明なグルタミン酸,プロリンのほかアラニン,γ-アミノ-n-酪酸,アルギニン,アスパラギン酸,シスチン,グリシン,リジン,セリン及び微量のグルタミン,ヒスチジン,ロイシン,スレオニン,チロシン,バリンを検出した.試料IIではグルタミンは検出されず,グルタミン酸が非常に少ないこと以外は試料Iと全く同様である(第1〜3図,第1表). (2) 長期室温保存によるグルタミン酸減少の原因を追究する手段の一つとして試料I及びIIの微生物を検索したが,両者ともちちかび,互生菌,枯草菌のごく微量を認めたのみで,乾燥花粉ではおそらくresting cellとして存在するものと思われる.グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性は試料Iにのみ認められ(第4図),花粉の室温保存中遊離グルタミン酸減少の原因の一つとして,グルタミン酸デカルボキシラーゼによるγ-アミノ-n-酪酸への変化も考えられる. (3) 蛋白質構成アミノ酸としては試料I及び試料IIともに著明なアラニン,グルタミン酸,グリシンのほがアルギニン,アスパラギン酸,ロイシン,リジン,フェニルアラニン,セリン,スレオニン,チロシン,バリン及び微量のシスチン,ヒスチジン,プロリン,トリプトファン,メチオニンを検出し,さらにニンヒドリンで澄黄色から紅色に変化する2この未知スポットを認めた(第5, 6図,第1表).
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