飼料用魚粉の微生物分布と放射線殺菌効果
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概要
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各種の近海産魚粉や混合ミールなどの動物性飼料原料中の微生物分布と放射線殺菌効果について検討し次の結果を得た. (1) 国産の魚粉や混合ミール中の総細菌数は1g当り2.4×104〜3.0×106個, 大腸菌群は5.6×101〜1.0×105個,好浸透圧性糸状菌は7.5×101〜6.3×103個,一般糸状菌は8.8×101〜5.4×103個検出された.しかし,東南アジア産混合ミールは糸状菌汚染が著しかった.骨粉や羽毛粉では微生物汚染は魚粉より少なかった. (2) 魚粉や混合ミール中の総細菌数は主にMicrococcusやBacillusで構成されており,MoraxellaやPseudomonasも干検出された.大腸菌群は分離株の30%以上がEscherichiaおよびCitrobacterで占められており, EnterobacterやKlebsiellaも多く検出された.好浸透圧性糸状菌はAspergillus glaucus群とA. gracilis, A. candidusが多く検出され,国産魚粉類の一般糸状菌はRhizopusが多かった.一方,東南アジア産混合ミールではA.flvusなどが多く検出された. (3) 魚粉や混合ミール10検体のうち5検体からサルモネラ菌が250g当り1〜20個検出され,多くの分離株は血清C1型とE型菌の2群に分けられた. (4) 放射線照射により混合ミール中の総細菌数は0.5〜0.6 Mradで約104個生残しており,大腸菌群は検出限界以下に殺菌された.またA. flavusなどの糸状菌も0.4 Mradの照射により検出限界以下となった.サルモネラ菌を1g当り10-6個まで殺菌するためには0.5〜0.6 Mrad照射する必要がある.なお高線量照射後にはMoraxella sp.や運動性を有さないPseudomonas sp.が主に生残していた. したがって魚粉などの動物性飼料原料の病原微生物を殺菌するためには0.5〜0.6 Mradの線量で十分と思われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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久米 民和
日本原子力研究所高崎研究所イオンビーム生物応用研究部
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伊藤 均
岐阜大学 大学院
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武久 正昭
日本原子力研究所高崎研究所
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伊藤 均
原研高崎
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伊藤 均
日本原子力研
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BEGUM Anwara
日本原子力研究所高崎研究所
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久米 民和
日本原子力研究所高崎研究所
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