ゴマ13Sグロブリンのゲル化に及ぼす還元的アルキル化の効果
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概要
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(1) MeansとFeeneyの方法でゴマExtract II(主成分13 Sグロブリン)の還元的アルキル化を行い,その性質を調べた. i) 還元的アルキル化の程度はTNBS法で調べた. ii) 超遠心分析により,修飾とともに5 S成分への解離を伴って13 S成分が減少することが認められた. iii) ゲル濾過法においても同様の分子の大きさの変化が認められた. iv) 溶解度は修飾により水および低塩濃度では未修飾より高かったが,塩濃度0.4M以上ではやや低くなり, 10回修飾のものは他と異なった傾向を示した. v) ディスク電気泳動により還元的アルキル化によるプラスチャージのわずかな減少が認められた.等電点電気泳動からはpI 5付近にわずか変化がみられたほかは大きな変化がなかった. (2) 還元的アルキル化のゲル化に及ぼす影響をみると, pH 7, 2% NaClでは熱凝固や沈殿となりゲル化臨界濃度を2%から8%に, pH 10, 5% NaClではゲル化臨界濃度を2%から4%に上昇させた. (3) ゴマタンパク質のゲルの微細構造を走査型電子顕微鏡で観察すると,未修飾およびアルキル化13 Sグロブリンのゲルは小さい球状体からなっていることが分かった.ダイズ11 Sグロブリンの親水性ゲルにおいて観察されるよく発達した三次元網状構造に比較すると,ここに観察された小球状体からなる微細構造はやや疎水性のタンパク質からつくられるゲルの一つの特徴ではないかと考える. 走査型電子顕微鏡を使わせていただいた京都大学木材研究所島地研究室に感謝します.本研究は昭和55年度文部省科学研究費(奨励研究(A))に負うところが大きい.ここに記して謝意を表します.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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