トマトの生育ならびに開花•結実に関する研究 (第10報) : 花の形態, 機能および落花に及ぼす幼苗期の環境条件の影響 (2) 灌水量, 摘葉および Gibberellin 施与の影響

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トマトの花の形態, 機能および落花に対する幼苗期の環境条件ならびに肥培管理操作の影響について前報に引き続いて実験を行なつた。1. 花の形態と落花に対する幼苗期の種々の処理の影響幼苗期に種々の処理を施して育成した苗の開花時における花の形態と落花との関係をみると, 灌水量を種々変えた場合, 少灌水区では花の発達がおさえられ, 蕚片, 葯, 子房ともに小さくなつているが, 落花にはほとんど影響がみられなかつた。摘葉処理によつて葉面積を減らした場合や Gibberellin を施与した場合には花は小さくなり, 蕚片, 葯, 子房ともに小さく, 特に葯の発達がおさえられ, 落花が増加した。2. 花の形態と体内成分との関連少灌水区では窒素化合物の含量は高いが, 炭水化物の含量は若干低下しており, このような場合には花の発達がおさえられ, 蕚片, 葯, 子房ともに若干小さくなるが, いずれの器官も全く正常である。摘葉による葉面積の減少や Gibberellin 施与区においては同化量の減少あるいは同化物質の消費量の増大によつて体内の全糖, デンプン, 多糖類のいずれも少なく, このような場合には花は小さくなり, 蕚片, 葯, 子房のいずれの器官も発達がおさえられ, 特に葯の発達が著しくおさえられ, 花粉の充実が悪く, ほとんどが不稔花粉であつた。また前報と同様に葯の発達がおさえられた摘葉区や Gibberellin 施与区の花においては Auxin や核酸の含量が著しく少なくなつている。3. 落花と体内成分との関連強摘葉や Gibberellin 施与などの炭水化物の蓄積量を少なくするような場合に著しい落花•落蕾を誘発せしめている。これにトマトトーンを施与してもほとんどその効果は認められず, 相変わらず落蕾•落花が多くなつており, 前報の高夜温や低光度の場合とは異なつている。これは強摘葉による葉面積の減少や Gibberellin 施与による著しい徒長によつて体内の養分が不足し, 花への栄養供給がほとんど行なわれないことによるものとみられる。少灌水区のように炭水化物の含量が若干低下しても窒素化合物の含量が高い場合には落花にはほとんど影響がみられない。しかし, この少灌水区ではトマトトーン施与によつて落花は逆に増加しており, この場合は前報の床土の肥沃度の劣る場合と同様に, 葉面積の減少によつて体内の養分が不足し, さらに初期の着果によつて体内の栄養状態が一層不良となつて落花を助長したものとみられる。

トマトの生育ならびに開花•結実に関する研究 (第10報) : 花の形態, 機能および落花に及ぼす幼苗期の環境条件の影響 (2) 灌水量, 摘葉および Gibberellin 施与の影響

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