カブの花芽形成における温度と日長の相互作用に対する品種間差異

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日本在来のカブの代表的な12品種について, 花芽形成および抽苔に対する温度と日長の相互作用をファイトトロンを用いて解析•比較した. 天王寺, 聖護院, 博多据, 大藪, 温海, 近江, 山内, 鳴沢菜,寄居, 日野菜, 大野紅, 金町の催芽種子を3°Cの低温で30日間処理し, その後24時間日長の長日下で育成した場合, すべての品種で抽苔し, 開花した.天王寺, 山内, 寄居, 温海, 鳴沢菜を用いて催芽種子の低温処理期間と花芽形成の関係を調べた結果,長日区では, 低温処理が7日間以下になると, 天王寺以外の品種で花芽形成率は著しく低下し, 14日間以上になるとすべての品種で80~100%の株が花芽を形成した.<BR>低温処理した催芽種子を8時間日長の短日下で育成するか (低温•短日区), 低温処理を行わないで長日下で育成した場合 (無低温•長日区), 低温と長日を組み合わせて処理した場合 (低温•長日区) に比較して, 花芽形成および抽苔はいずれの品種でも著しく抑制された. 低温処理30日間区においても, 短日では花芽形成•抽苔が大幅に抑制され, 短日が低温春化を打ち消すように作用した. また, 花芽形成に対する低温処理期間と日長の作用は, 頂花房までの葉数および側花房数にもあらわれた.<BR>これら花芽形成および抽苔に対する温度と日長の相互作用には顕著な品種間差異がみられ, その感応性から, 供試したカブ品種を5品種群に分類した. すなわち, 天王寺, 聖護院, 博多据は低温, 長日のいずれにも感応性が高く (タイプ1), 逆に寄居, 日野菜,大野紅, 金町はそれら単独処理に対する感応性が小さく (タイプII), 大藪, 近江, 温海はそれらの中間的な感応性を持つものに (タイプIII), また,山内は長日感応性は小さいが低温感応性が大きく(タイプIV), 鳴沢菜は逆に低温感応性は小さいが長日感応性が比較的大きいもの (タイプV) に分類された. このように, カブの花芽形成および抽苔には,温度のみならず日長も質的に作用し, それらに対する感応性は品種によって大きく異なる.
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