血清カルシウムが周期的と思われる著明な変動を示した機能性副甲状腺癌の1症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
血清カルシウム(Ca)が,正常域から16mg/dlをこえる広い範囲で周期的と思われる著明な変動を示した機能性副甲状腺癌の1症例を経験した.症例は58才,女性で,昭和54年7月札幌厚生病院における胆嚢摘除術後1週間頃から全身倦怠感・悪心・口渇・食欲不振が出現,同年9月高Ca血症を発見された.その後,約1年の間に,血清Caには3〜4カ月の間隔で4回の波動が観察された.頂期の血清Ca濃度は15.4〜17.6mg/dl,尿中Ca排泄量は438〜677mg/日で,血中副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度も3.24〜5.5ng/mlに達した.各頂期には,それぞれcalcitonin+prednisolone, prednisolone, indomethacin, calcitoninが用いられ,その投与中に血清Caの低下が始まり約10日間で正常化し,尿中Ca排泄量は40〜100mg/日,血中iPTHも1.55〜1.60ng/mlに低下した.寛解期の前半には,血清Caはきわめて緩徐な上昇傾向を示すが,後半には, 12mg/dlまでやや速やかに上昇し,その後1週間で急速に上昇して頂期に達した.尿中Ca排泄量,血中iPTHもこれにほぼ並行した.昭和55年10月2日右下副甲状腺腫瘍摘除術が行なわれ,組織学的に癌腫と診断された.摘除術後,血中iPTHは正常化した.本症例は,薬物により修飾された可能性はあるが,基本的には,癌腫のPTH産生の自律的な周期性変動により,血清Ca濃度とこれに伴う諸症状の著明な変動を示したものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
中川 光二
北海道大学第二内科
-
村島 義男
札幌厚生病院消化器科
-
村島 義男
札幌厚生病院
-
久保 光正
北海道大学
-
小原 孝雄
北海道大学
-
中川 昌一
北海道大学
-
堀川 博通
北海道大学
-
松原 三八夫
北海道大学医学部第二内科
-
久保 光正
北海道大学医学部第二内科
-
中川 光二
北海道大学医学部内科学第2講座および小児科学講座
-
小原 孝雄
北海道大学医学部第二内科
-
堀川 博通
北海道大学医学部第二内科
関連論文
- 分娩後に自然消滅した下垂体腫瘤の1例
- 75. 教室における早期食道癌の経験(第37回食道疾患研究会)
- 17. 食道微小癌2例の検討(第38回食道疾患研究会)
- 29.大腸ブラッシング細胞診で見られた大腸赤痢アメーバ症の三例(消化器6 : 腸, 示説, 第26回日本臨床細胞学会秋期大会学術講演会)
- 北海道農村幼児の縦断的肥満児頻度について
- 食道静脈瘤に対するシャント手術と内視鏡的硬化療法の比較検討
- I-49. 下部胆管癌及び Vater 乳頭部癌の進展様式の比較による術式の検討(第21回日本胆道外科研究会)
- 体外衝撃波破砕治療(ESWL)が有効であった膵管癒合不全に伴う膵石症の1例
- 542 画像診断, 病理所見からみた膵襄胞性疾患に対する外科切除の適応、切除術式(第39回日本消化器外科学会総会)
- 17. 食道早期癌の2例(第14回食道疾患研究会)
- 脈なし病の1例 : 第5回日本循環器学会北海道地方学会総会
- 農村住民と都市住民の動脈硬化の検討
- 示-231 肝胆道系手術侵襲に対する生体反応(第40回日本消化器外科学会総会)
- P4-8 食道静脈瘤に対するシャント手術と、内視鏡的硬化療法の適応と限界(第37回日本消化器外科学会総会)
- 11. 1年2ヵ月および9ヵ月経過観察した ep 癌の2症例(第38回食道疾患研究会)
- 示-266 PCNA 抗体による胆管癌の腫瘍細胞増殖能と壁進展に関する研究(第40回日本消化器外科学会総会)
- インスリン受容体結合能に及ぼすジチオスレイト-ル(DTT)の効果
- TSH"栄研"によるTSHのradioimmunoassayの検討
- 兄弟に発症を認めた甲状腺機能亢進症に伴った「正カリウム性」周期性四肢麻痺
- 精製インスリンの有用性と合成ヒトインスリンの現状と将来 ("糖尿病"インスリンの自己注射療法) -- (インスリン製剤の種類と特徴ならびに使い方)
- 精製インスリンのメリットと使い方 ("糖尿病"最近の知見から治療・指導まで) -- (トピックス)
- 血清カルシウムが周期的と思われる著明な変動を示した機能性副甲状腺癌の1症例
- Glycosylated Hbの臨床的意義 (糖代謝調節) -- (糖尿病をめぐるトピックス)
- 治療とGlycosylated Hemoglobinとタンパク (糖尿病診療の進歩)
- 糖尿病 (内科最近の動き)
- ビ-ズ固相法による血清インスリン測定キットの検討
- 糖尿病食事療法の基礎
- 糖尿病 (臨床治療の展望)
- 膵疾患と内視鏡診断 - 私と内視鏡との関わり合い -
- 胃癌と α_2-AP glycoprotein
- インスリン製剤の特徴と適応
- ヒステリ-発作およびreserpine-metyrapone投与を契機に突然寛解したCushing病の各1症例
- 北海道農村幼児の肥満児頻度に関する縦断的研究
- 血清カルシウムが周期的と思われる著明な変動を示した機能性副甲状腺癌の1症例
- 中枢神経症状を伴った全身性エリテマトーデスにEnterococcus faeciumによる髄膜炎を合併した1例
- 三叉神経障害を呈したprimary Sjögren症候群6症例の臨床的検討
- ステロイドパルス療法が有効であった赤芽球癆をともなった全身性エリテマトーデスの1例
- Dual energy X-ray absorptiometry法を用いた慢性関節リウマチの骨塩量の検討-骨塩量とCD45RA陽性CD4細胞の関係-
- 末梢血に好酸球増多とCD3 (-) CD4 (+)リンパ球の出現を認めたsystemic mast cell diseaseの1例
- 左手指の伸曲拘縮を初発症とし,多発性に線維化をきたした特発性後腹膜線維症の1例
- Macroamylasemiaの1例 : そのmacroamylaseの解析
- Chenodeoxycholic Acid Radioimmunoassayの開発と応用-特に血中胆汁酸測定の臨床的意義および胆汁酸の日内変動について-
- 肝血管肉腫の1例
- 赤血球増多症を伴った原発性肝癌の二症例
- 発言(1)胆汁酸代謝異常
- Cholestyramineの肝胆道疾患患者血中胆汁酸,皮膚掻痒に及ぼす影響
- バルーン下逆行性経静脈的塞栓術前後で血行動態の変化を観察し得た胃静脈瘤の1例 : カラードプラによる観察
- 全身性エリテマトーデス(SLE)における肺高血圧症の検討-超音波パルスドプラー法の有用性と当科SLEの分析-
- Basedow病を合併した自己免疫性溶血性貧血の1例
- Systemic lupus erythematosusの発症をみた二組の一卵性双生児例
- 全身性エリテマトーデスの1982年アメリカリウマチ協会改訂基準についての検討当科126例について
- Marfan症候群の1家系
- M成分に抗マイクロゾーム抗体活性をもつ多発性骨髄腫と橋本病の合併例
- ホルモン産生の著明な変動を示した胸腺カルチノイドによる異所性ACTH症候群の1例
- フロセマイド大量投与に起因したWernicke脳症と思われる1症例
- 肝胆道疾患における胆汁酸代謝 : 肝胆道疾患における尿中胆汁酸SulfateおよびNonsulfateについて
- レーザー照射により門脈内腫瘍塞栓を消退せしめた原発性肝癌の1例
- 肝胆道疾患における胆汁酸代謝 : 肝胆道疾患における血中胆汁酸SulfateおよびNonsulfateについて
- 肝胆道疾患における血中胆汁酸の測定(第2報)血中非抱合型胆汁酸の臨床的意義について
- 血中ursodeoxycholic acidのradioimmunoassay
- Silent型血清コリンエステラーゼ異常症の1家系
- 汎血球減少症を示し,治療中にクリプトコッカス脳髄膜炎を併発した自己免疫性溶血性貧血の1例
- WDHA症候群の1例及び, 本邦報告14例についての検討
- ヒステリ-発作およびreserpine-metyrapone投与を契機に突然寛解したCushing病の各1症例
- 成長因子としてのトランスフェリン測定の臨床的意義:第一報 : 下垂体疾患治療前後での変化
- 北海道農村小児の縦断的肥満児頻度について
- 血清中胆汁酸の酵素免疫学的測定法
- 血中胆汁酸の酵素免疫学的測定法(速報)
- ヒト血中Luteinizing Hormone (LH) Radioimmunoassayの一方法
- 成長ホルモン分泌刺激試験としてのarginine試験とinsulin試験の比較
- Ursodeoxycholic acid 投与による cholesterol 胆石の溶解と胆汁中胆汁酸構成の変化(速報)
- A case of TSH-producing pituitary tumor.
- 成長因子としてのトランスフェリン測定の臨床的意義:第二報 : 各種内分泌状態における変化
- 多発性脳神経障害を初発症状とした subclinical Sjogren 症候群の1例
- Enzyme linked immunosorbent assay for detection of anti-red blood cell(RBC) antibodies using RBC ghost protein.
- Efficacy of plasmapheresis on a patient with Bence Jones λ-type plasma cell leukemia