特発性門脈圧亢進症として経過を観察されていた中年女性の先天性肝線維症の1例
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概要
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特発性門脈圧亢進症(IPH)として経過を観察されていたが,再度の肝生検で先天性肝線維症(CHF)と診断された48歳女性の1例を経験したので報告する.1990年全身倦怠感を主訴に受診.CHFを疑わせる家族歴はなく,脾腫軽度,貧血はないが,血小板は8.6万と減少していた.門脈圧亢進症としては,巨大脾腎シャントを認めた.原因となるべき肝疾患を認めず,腹腔鏡,腹部エコー,CTにて肝硬変は否定された.肝生検組織は細断されており診断は困難であったが,炎症性変化のない門脈域の線維化を認めた.以上より,IPHと診断した.1991年シャント閉鎖術施行目的で再度肝精査し,この時の肝組織で,胆管増生,門脈の低形成を認め,CHFと診断した.<BR>CHFは,本邦において今日までに約70例の報告があり,20歳以下では吐下血で発症することが多く,30歳以上では,健診などで偶然に発見されることが多く,CHFによる死亡は認めなかった.<BR>中高年に至ったCHFの中には本例のように診断の困難な例もあり,腹腔鏡・肝生検による慎重な診断が必要である.
著者
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谷合 麻紀子
東京女子医大消化器内科
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小幡 裕
東京女子医大消化器病センター
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久満 董樹
東京女子医大消化器病センター内科
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奥田 博明
東京女子医科大学 消化器内科
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小島原 典子
東京女子医科大学消化器病センター内科
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橋本 悦子
東京女子医大
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小林 潔正
東京女子医大消化器病センター内科
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小林 潔正
東京女子医科大学消化器病センター内科
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小島原 典子
東京女子医科大学医学部 衛生学公衆衛生学第二
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奥田 博明
東京女子医大消化器内科
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