家畜の性決定遺伝子(SRY)保存領域のPCR法による増幅と塩基配列†の種差
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概要
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SINCLAIRらが報告したSRY (sex-determining region Y)はその後の一連の研究により性決定遺伝子であることが確認されている.そして,サザンブロットの結果からSRYは哺乳動物の間で広く保存されていると報告している.本試験では,ヒト,ウシ,ヤギ,ヒツジ,ブタ,シカおよびマウスについて,ヒト,マウスおよびウサギSRYの塩基配列から作成したプライマーを用いたPCR (Polymerase Chain Reaction)を行ない,ヒトと同様にSRY中の塩基配列が検出可能かどうかを検討した.さらに得られたDNA断片の塩基配列を決定し,動物種によるSRY保存領域の塩基配列の差異について検討した.センスプライマーとして5AAGCGACCCATGAATGCATTCATGGTGTGGT3(31mer),アンチセンスプライマーとして5GAGGTCGATACTTATAGTTCGGGTATTTCTCTCTGTG3(37mer)を用い,93°C1分,60°C1.5分,72°C1分を1サイクルとして35回のPCRを行なった結果,実験に供試した全ての雄で,ヒトおよびマウスと同じ大きさのDNAバンドが検出され,雌では検出されなかった.さらに得られたDNA断片の塩基配列を決定した結果,動物種によってはかなり塩基置換が見られるものの,アミノ酸の機能的保存性は高く,性決定遺伝子として重要な役割を担っているタンパク質をコードしている領域であることが推察された.
著者
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