赤クローバーサイレージ熟成中における窒素化合物の経時的変化について
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概要
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サイレージ熟成中にかなりの量の蛋白質が低次の窒素化合物に分解されることが知られているが,かかる変化が熟成過程中にいかなる様相をもってあらわれるかはまだ解明されていない.本実験は試験管サイレージ(TTS)および牧草圧搾液を嫌気状態で発酵させたもの(FGJ)の2種類を用い,以上の点を究明した.1. 本実験に供したFGJおよびTTSは,そのpHおよび有機酸組成から推して,かなり良好な発酵過程をたどったものと思われた.2. FGJおよびTTSとも,詰込後2〜5日の間に蛋白質の大きな分解が起り,この分解はとくにTTSにおいて著しかった.その後は10日目まで安定し,以後ふたたび蛋白質の分解が起ることがわかった.3. FGJについて遊離の中性および酸性アミノ酸の定量をおこなった結果,グルタミン酸は熟成が進むにつれて減少し,アスパラギン酸は大きな変化なく,定量できなかったセリン,スレオニンを除く他のアミノ酸は詰込初期に増加し2日目から7日目にかけては変化なく,それ以後21日目までの間にかなり増加することがわかった.4. FGJおよびTTSの両者について遊離の塩基性アミノ酸の側定をおこなった結果,各アミノ酸とも,まったく異なる経過をたどった.ヒスチジンは,FGJでは日とともに減少したのに対し,TTSでは増加を示した.FGJ中の遊離アルギニンは,生草中に18μMあったものが詰込後1日目には痕跡程度になり,以後痕跡しか認められなかった.一方TTSについては詰込後10日目までは減少したが,以後増加の傾向を示した.リジンとオルニチンは分離できず合量で示した.この合量値は,TTSにおいて日と共に急激な増加を示したのに対し,FGJにおいては詰込後1日目に急激な増加を示し2日目に至って激減し以後7日目まで変化なく,それ以後ふたたび増加した.5. TTSにおいては詰込初期にいちじるしいアンモニアの増加を示したのに対し,FGJではごくわずかだった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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