サイレージ中の遊離アミノ酸の消長に関する研究 : I. 赤クローバー汁液中の遊離モノアミノジカルボン酸の消長について
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概要
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前報7)において,牧草汁液の醗酵の際に蛋白質の分解にともないほとんどの遊離アミノ酸が増加するにもかかわらず,グルタミン酸およびアスパラギン酸はむしろ減少することを報告した.本実験は,赤クローバー汁液中に添加した14Cモノアミノジカルボン酸の変化を経時的に追跡することによって,その減少の様相を明らかにしようとしたものである.その結果,両アミノ酸は下記のごとくまったく異なる経過をたどることが判った.1. インキュベイト開始後4時間以内に14Cアスパラギン酸の比放射能の10%が有機酸画分に移行し,1日後には20%に達した.14Cグルタミン酸においては,初期にはわずかの比放射能が有機酸画分に移行したが,以後しばらくは増加がみられなかった.しかし14Cグルタミン酸をインキュベイト開始後3日目に添加すると,末期には18%の移行が認められた.2. pHの低下にともない14Cアスパラギン酸の比放射能の一部が糖画分に移行し,2日目に約4%に達したが,以後有意の増減はなかった.14Cグルタミン酸添加における糖画分は詰込直後1%に達し,以後は0.3から0.5%の間にあった.3. 14Cグルタミン酸はインキュベイト開始と同時に大きな脱炭酸作用をうけ,4時間以内に14Cグルタミン酸は添加量の20%に減少し,2日後には添加したすべての14Cがグルタミン酸以外の成分に移行した.なお,そのうち約80%はγ-アミノ酪酸中に見出された.インキュベイト開始後3日目に添加した14Cグルタミン酸の変化は非常に小さかった.一方,14Cアスパラギン酸においてはインキュベイト開始時の脱炭酸はグルタミン酸に比し小さかったが.以後徐々に脱炭酸が進行し14C-α-アラニンが増加した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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