加熱凝固後のエタノール処理が加熱乾燥LPCのラットに対する栄養価に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生育期のラジノクローバー,イタリアンライグラスおよび大豆を用い,以下に示す方法により緑葉蛋白質濃縮物(LPC)を調製した.ラジノクローバーを磨砕•圧搾して得た搾汁液を二分し,一方はただちに,他方は塩酸でpH4に調製したのち,70°Cに達するまで直火で加熱した.凝固物を16,000rpmで回収したのち更に二分し,一方は直接(無処理および塩酸処理LPC),他方は90%エタノールで洗滌後(エタノール処理及び塩酸•エタノール処理LPC),70°Cの通風乾燥器で18時間乾燥した.まったく同じ方法により,イタリアンライグラスから塩酸処理及び塩酸•エタノール処理LPCを,大豆から無処理LPCを調製した.各LPCは,ボールミルで微粉化したのちビンに詰め,冷蔵庫中に貯蔵した.これらのいずれか1つと補足メチオニンを蛋白質源とする粗蛋白質10%の飼料を調製し,そのまま,あるいは更にリジンを添加して,体重50g前後のラットに制限給与した.エタノール洗滌により,ラットの増体量,蛋白消化率,窒素保留,蛋白効率,尿中窒素排泄率などすべての測定項目において,LPCの栄養価は有意に改善された.消化率を除く各測定値とLPCの蛋白当りのリジン含量との間に相関が得られた.リジン含量が高かった2種類のLPCにメチオニンのほかにリジンを添加した結果,栄養価が向上した.以上の結果,供試した全LPCの第2制限アミノ酸はリジンであり,アルコール洗滌による栄養改善効果は,LPC中のリジン比率の上昇に基くことが明らかとなった.ラジノクローバー及びイタリアンライグラスの搾汁液をpH4に調整することにより,無調整の場合に比し,LPC収量が20%増加し,比較を行なったラジノクローバーにおいて,栄養価も改善された.
著者
関連論文
- ラジノクローバ緑葉蛋白抽出残渣サイレージのヒツジにおける利用性について
- 緑葉蛋白抽出残渣サイレージと乾草の併用給与試験
- マメ科牧草の乾燥繊維残渣のヒツジにおける利用性について
- ソラマメ茎葉の緑葉蛋白抽出残渣サイレージのヒツジにおける利用性について
- 赤クローバーサイレージの詰込条件と成分変化,とくに発酵ガスの発生量との関係について
- 緑葉成分分画の原料作物選択基準に関する実験的研究
- LPC原料草としてのルーサン及びイタリアンライグラスの比較
- 大豆乾草の育成豚に対する栄養価について
- 赤クローバーおよびコモンベッチ乾草の育成豚およびラットに対する栄養価について
- ラジノクローバーサイレージ熟成中における核酸塩基の消長について
- サイレージの品質とサイレージ熟成中の硝酸還元との関係について
- 緑葉蛋白質抽出残渣サイレージの乳牛による消化性
- 加熱凝固後のエタノール処理が加熱乾燥LPCのラットに対する栄養価に及ぼす影響
- 搾汁後の処理がルーサンLPCの収量と栄養価におよぼす影響
- エンバク緑葉蛋白質分離液で培養したパン酵母の生長中のラット,ヒナおよび豚に対する栄養価値
- エンバクースズメノカタビラ混合草より調製した緑葉蛋白質濃縮物及び濃縮グリーンジュースの豚に対する栄養価
- ラジノクローバーLPCのラットに対する第2制限アミノ酸について
- サイレージの品質および飼料へのアミノ酸添加が育成豚による赤クローバーサイレージの利用性におよぼす影響について
- サイレージ中の遊離アミノ酸の消長に関する研究 : I. 赤クローバー汁液中の遊離モノアミノジカルボン酸の消長について
- サイレージ熟成中における牧草蛋白質の消化率の経時的変化について
- 赤クローバーサイレージ熟成中における窒素化合物の経時的変化について
- 試験プラントでルーサンから生産した緑葉蛋白質濃縮物及びそれを添加した小麦粉あるいは子牛代用乳の栄養価
- 緑葉蛋白質抽出残渣サイレージの品質に及ぼす要因
- 生育時期あるいは品質を異にするルーサンサイレージの育成豚およびラットに対する栄養価について
- ラジノクローバー緑葉蛋白質抽出残渣のサイレージ原料としての特性
- 赤クローバーサイレージ熟成中における添加グルコースの変化について
- 赤クローバーサイレージ中の窒素栄養源に関する研究