泌乳中ヤギの脂肪および乳腺組織における脂質合成およびリパーゼ活性に及ぼす飼料変換の影響

概要

論文の詳細を見る
泌乳中ヤギに給与する飼料の変換が,皮下脂肪および乳腺組織における,脂肪酸合成能と脂肪酸合成関連酵素の活性,ならびに皮下脂肪組織における,リポプロティンリパーゼとホルモン感受性リパーゼの活性におよぼす影響を検討した.泌乳中のヤギ5頭(日本ザーネン種,体重35〜46kg)を,3頭と2頭の2群に分けて供試した.第1群(3頭)は粗飼料のみを3週間給与した後,濃厚飼料多給に変換し,3週間飼育した.第2群(2頭)は,第1群と逆の処理を行なった.いずれの群においても,飼料を変換する1時間前に採血を,また直前に生検によって皮下脂肪組織と乳腺組織を,それぞれ1〜2g摘出した.血清中グルコース濃度は,粗飼料給与時より濃厚飼料多給時の方が高く,一方,血清中遊離型脂肪酸濃度は,粗飼料給与時において高い値を示した.皮下脂肪組織における,脂肪酸合成能および脂肪酸合成関連酵素とリポプロティンリパーゼの活性は,粗飼料給与時に比べて,濃厚飼料多給時の方が高い値を示した.一方,ホルモン感受性リパーゼ活性は粗飼料給与時の方が高かった.乳腺組織における脂肪酸合成能は皮下脂肪組織に比べ著しく高い値を示したが,飼料変換による顕著な影響は観察されなかった.これらの結果から,泌乳中の反芻家畜への濃厚飼料多給による乳脂肪生産の低下の原因の1つは,乳腺組識での脂肪酸合成能の低下というより,血流中の脂肪酸および乳脂肪合成のための前駆物質が皮下脂肪組織の方向に流れ,乳腺組織へのこれらの取込みが減少するためであろうと推察される.
社団法人日本畜産学会の論文

泌乳中ヤギの脂肪および乳腺組織における脂質合成およびリパーゼ活性に及ぼす飼料変換の影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク