トウモロコシ, 玄米, 大麦, 裸麦および小麦の豚小腸末端アミノ酸消化率
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概要
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トウモロコシ, 玄米, 大麦, 裸麦および小麦の豚小腸末端までのアミノ酸および粗蛋白質 (CP) の消化率を測定し, さらに, トウモロコシと玄米については, それらの粒度が小腸末端消化率に及ぼす影響について検討した. 供試豚は小腸末端にカニューレを装着した子豚4頭 (開始時体重30kg) で, 供試穀物は, 裸麦を除いて場内産, また, 裸麦は高蛋白質, 高リジンを目標にして四国農業試験場で育種, 生産されたものである. 実験1では, トウモロコシとコーンスターチを主体とする基礎飼料 (CP3.4%) およびこのコーンスターチを各供試穀物で代替した合計6種類の飼料を用い, 1試験期間4日間として6期にわたって実施した. 各期では, 6種類の飼料のいずれかを, 1日目の午後5時から8時間間隔で1日3回, 4頭の豚に給与し, 3, 4および5日目の午後1-2時に小腸内容物を採取して分析に供した. 消化率は酸化クロム法によって求めた. 実験2では, 実験1で供試したトウモロコシと玄米 (いずれも大型粉砕機で節なしで粉砕) と, これをさらに超遠心粉砕器 (1mmの筋付き) で粉砕した計4種類の試料について, CPおよびエネルギーの小腸末端消化率を測定した. 試験の結果はつぎの通りである. 1) 真の全アミノ酸平均小腸末端消化率は, トウモロコシ, 玄米, 大麦, 裸麦および小麦で, それぞれ, 83.9, 85.8, 81.6, 84.4および87.3%で, 小麦が最高となった. 供試したいずれの穀物でもリジンが第1制限アミノ酸と推定されたが, その真の消化率は, それぞれ, 89.3,.81.2, 84.4, 88.6および88.0%で, 穀物間に有意差は認められなかった (P>0.05). 2) 高リジンを目標に育種された新系統の裸麦の可消化リジン含量は0.48%となり, トウモロコシ, 玄米, 大麦および小麦のそれぞれ0.20, 0.27, 0.22および0.28%に比較して著しく高かった. また, 供試した裸麦のアミノ酸バランスはきわめてすぐれていた. 3) 玄米の微粉砕によって, CPおよびエネルギーの小腸末端消化率は, それぞれ, 10および7%高まったが, 有意差は認められなかった (P>0.05). トウモロコシの場合には, 微粉砕によってエネルギーの消化率はわずかに改善されたが, CPの消化率は影響を受けなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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